「国境の島 壱岐・対馬・五島」 重点支援地域に選定 文化庁が日本遺産を総括評価

日本遺産の評価結果と新たな候補

 文化庁は16日、日本遺産に認定している長崎県の「国境の島 壱岐・対馬・五島~古代からの架け橋~」について、これまでの取り組みや今後の計画を総括評価し、認定継続とした上で他地域のモデルとなる重点支援地域に選んだと発表した。地域文化財を生かした旅行関連商品の開発や、人材育成など観光振興を図る土台を整備し、今後の成果が期待できると評価した。
 日本遺産は厳しい保全体制と普遍的な価値の説明が求められる世界遺産とは異なり、地域活性化を主眼とした国の認定制度。遺産の水準維持のため、本年度から評価制度を導入し、2015年に第1弾として認定した18件を審査。14件を継続、4件を再審査とした。
 「国境の島-」は、古代から大陸と結ぶ要衝として栄えた本県離島の歴史を「2300年に及ぶ壮大なストーリー」としてクローズアップ。壱岐市の原の辻遺跡や対馬市の金田城跡、五島市の明星院本堂、新上五島町の日島の石塔群など計29の有形・無形文化財で構成している。
 審査では、アドバイザーの選任や商品開発による自主財源の確保などの組織整備、ガイド研修などの人材育成、離島を周遊させる取り組みなどを評価。外国人の延べ宿泊客数や、構成文化財を活用した旅行商品数の増加といった目標達成度を加味した。
 重点支援地域は、今後3年間の取り組み計画に対する評価が3段階で最も高い四つの遺産を認定。国境の島は「ビジョンが明確」とし、歴史文化の保存活用やトレッキングコースの整備、ガイド・地域プロデューサーの育成などの計画が認められた。重点支援地域は国からの補助金の割合がかさ上げされる。
 中村法道知事は「今後の活動の弾みになり、大変喜ばしい。さらなる発信に努めたい」とコメントした。
 日本遺産は現在104件。本県関係はほかに、シュガーロードと呼ばれた長崎街道の食文化や歴史、佐世保市の鎮守府、肥前の磁器文化の3件がある。

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