バッハ会長の”核廃絶”言及スルーに非難の声「パフォーマンスを世界に見せたかっただけ」

広島でのスピーチに批判が殺到したバッハ会長(ロイター)

国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)が被爆地広島の平和記念公園を訪問しながらスピーチで核廃絶に言及しなかったことが大きな波紋を呼んでいる。

新型コロナウイルスの感染深刻化により緊急事態宣言下で要請されている県をまたいだ移動自粛の要請を無視して広島訪問を強行したバッハ会長。平和記念公園では一般客の立ち入りが一時禁止されるなど超VIP待遇で慰霊碑への献花などを行ったが、そこで行ったスピーチに注目が集まっている。

バッハ会長は「東京大会はより良い平和な未来への希望の光となる」などと東京五輪開催の意義は強調したものの、核廃絶に関する言及を〝スルー〟したのだ。

過去にバッハ会長と同じく国賓級の待遇で同地を訪れた米国のオバマ元大統領は「核兵器なき世界を目指す勇気を持たなければならない」、ローマ教皇フランシスコも「核兵器は安全保障への脅威から私たちを守ってくれるものではない」といずれもスピーチで核廃絶を訴えた。五輪では政治的メッセージを禁止しているがもちろん核廃絶への言及はこれにあたらず、むしろ平和を希求する立場のIOCとしては核廃絶を訴えなければならないはず。

にもかかわらずバッハ会長は言及を避けたことで国民の間からは批判の声が殺到。ネット上では「東京五輪は希望の光と言っただけで被爆地を訪れているのに、核廃絶への言葉も無かった。やっぱりバッハは自分だけ」「被爆地広島にバッハが行き、原爆資料館を見学し、被爆者とも面会している。被爆者の苦しさや核の悲惨さを痛感したのであれば、核廃絶にふれるのが当然だ。バッハは儀礼的に広島へ行っただけで、自分のパフォーマンスを世界に見せたかっただけである」と非難の声が続々と上がった。

被爆地訪問はやはり単なるパフォーマンスだったのか。

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