〈じょうえつレポート〉上越市老人クラブ連合会 自主活動の先導 半世紀 「健康」「友愛」「奉仕」多様な活動展開 喜び感じ取り組み

 今年で創立50周年(数え年)を迎えた上越市老人クラブ連合会。「健康」「友愛」「奉仕」を基本理念に掲げ、高齢者による自主的な活動を先導し続けてきた。創立から半世紀、時代の変遷と共に歩んできた同連合会の「今まで」と「これから」を紹介する。(竹内光晴記者)

 昭和38年、高齢者の健康保持・生活の安定を目的に「老人福祉法」が制定された。これを機に、高齢者が行政の支援を受けながら自主的に地域活動を展開する「老人クラブ」の取り組みが活発化。全国のクラブ数は同36年の9755団体から、ピークとなる平成10年には13万4285団体まで拡大した。(厚生労働省資料)

 公益財団法人全国老人クラブ連合会は、老人クラブを「生活を豊かにする楽しい活動、地域を豊かにする社会活動など、生きがいを高めながら自主的に事業を企画し実施する、地域に根ざした団体」と規定。60歳以上を対象に、日常的に歩いて集まることができる範囲で組織する「単位老人クラブ」を基本とする。地域によっては都道府県や市区町村の区域で連絡協議会や連合会を組織し、クラブ間の連絡調整、より広域的な共同事業の実施などを図っている。

発足時146団体 会員数9619人

 昭和46年、旧直江津市と旧高田市が合併し上越市が誕生。これに合わせ、翌47年に両市の老人クラブ連合会が統合、発足したのが「上越市老人クラブ連合会」。高田連合会の寺田憲三会長を初代会長に、146団体、会員9619人で歩み始めた。

発足に合わせて発行された機関誌『上越老連』の創刊号(上越市老人クラブ連合会提供)

 仲間づくり、健康づくりを目的に、同49年には「老人スポーツ大会(現・上越市シニアスポーツ大会)」を実施。約1500人が城北中グラウンドに集い、盛況のうちに終了したという。同53年には「老人ゲートボール大会(現・シニアゲートボール大会)」を、平成3年には「輪投げ大会」を開き、それぞれ恒例行事として現在も続いている。(昨年と今年のシニアスポーツ大会はコロナ禍により中止)

 会員の教育活動に力を入れている同連合会。各クラブをけん引するリーダーを養成する研修会や、他市・他県の連合会との交流研修事業、交通事故や特殊詐欺への注意啓発を目的とした生活安全教室を定期的に行っている。同24~26年には福島県南相馬市の仮設住宅を訪問する「東日本大震災被災地支援交流ツアー」を、同30年には西日本豪雨災害救援募金への協力など、ボランティア活動も精力的に取り組んでいる。

老人福祉の推進沿い事業

 現在は教育文化部や保健体育部など五つの専門部と事務局が主に事業を推進。それぞれがイベントの企画などを行い、同連合会が目的とする「老人福祉の推進」に沿った事業を展開している。

 加盟クラブは平成8年に185団体、会員数は1万5102人を数えたが、以降、減少に転じ、令和3年4月時点で115団体、会員数6548人となっている。丸山治夫事務局長(63)は、高齢者を取り巻く環境の変化、対象世代が現役で働いていること、価値観の多様化により各人の希望する活動に違いが生じてきたことなどが要因と分析する。

上越市西城町1の事務局で。左から丸山事務局長、山口会長、外立部長、事務局の植木栄子さん

 同連合会は同2年から会員増強運動5カ年計画(第2次)に着手。加盟クラブの取り組み状況や成功例の情報共有、クラブ未設置地域を把握し、町内会関係者にクラブ発足に向けて協力を行うなどの対策を講じている。また近年は、誰でも気軽に楽しめるスポーツ「グラウンドゴルフ」の講習会や大会を企画し、さらなる交流の場づくりを進めている。

6月10日に開かれたグラウンドゴルフ体験講習会。約80人が参加し、模擬ゲームを楽しんだ

10月に式典記念誌を作成

 同連合会は10月に創立50周年記念式典を予定している。これに合わせ、これまでの歩みをまとめた記念誌を作成中。担当する福祉奉仕部の外立秀夫部長(75)は「老人クラブ活動は楽しいと思えることが何より重要。会員それぞれができることを行えば、結果として地域の活性化につながる」と話す。山口衛行会長(83)は「私で会長も8代目。先人の思いを引き継ぎ、ここまできた。これからも各クラブと息を合わせ、会員一人一人に喜びを感じてもらえるよう一層取り組んでいく」と抱負を語る。

© 株式会社上越タイムス社