7月31日~8月1日開催予定だったWTCR第4戦アドリアが延期に。サーキット改修工事が完了せず

 7月31日~8月1日にイタリアのアドリア・レースウェイで開催予定だった2021年のWTCR世界ツーリングカー・カップ第4戦は、現地で進行中のサーキット改修工事がまだ完了しておらず、FIAグレード認証の取得も間に合わないため延期されることが決定。この結果、WTCRは予想外のサマーブレイクに突入し、次戦は約2カ月後の8月21~22日、ハンガリー戦までスケジュールがずれ込む公算となった。

 2020年もシーズンフィナーレの最終戦を飾る計画だったイタリアのトラックは、その時点でも「建設工事に時間を要する」との判断から、スペインのモーターランド・アラゴンに置き換えられていた。

 その改修作業は2021年に入ってからも継続されてきたが、昨今の世界的衛生環境や経済の失速も重なり予定どおりには進まず。直近のFIAによる査察で、実際の作業がトラックの延長とアップグレード認証の基準に到達していないことから、その現地査察と承認進行は難しいと判断された。

 これらの工事と作業の完了にはまだ2週間以上を要すると見られ、WTCRプロモーターのユーロスポーツ・イベントとサーキットは共同で、同イベントを「新しい日付に延期する」ことを決定した。

 その新日程は「適切な日付が見つかり次第、FIA世界モータースポーツ評議会(World Motor Sport Council/WMSC)に提出される」とされたが、これにより2021年WTCRの次戦は8月末のハンガリーまで遠のくこととなった。

「現地の改修工事の遅れによる混乱で、カレンダー変更を決断する必要に迫られた。これは明らかに簡単な決定ではなかった」と説明するユーロスポーツ・イベント代表のフランソワ・リベイロ。

「しかし、モータースポーツにとって安全性はつねに最優先事項であり、重要な作業が予定より遅れていることで、さらに土壇場に追い込まれてからキャンセルしなければならないリスクを冒すことはできなかった」と続けるリベイロ代表。

ツーリングカーのスーパー2000規定時代には、欧州選手権や国内選手権も開催されていた
レイアウト改修を含む近代化工事が続くアドリア・インターナショナル・レースウェイ

■アジアラウンドの“GOサイン”は近日中に決定へ

「FIAによる必要な認証が発行されるよう、改修工事をできるだけ早く完了させるべく、現在もあらゆる努力が払われていると承知している」

「これにより、イベント前のすべての準備を継続し、関係者が自信を持ってイタリアのWTCRイベントに備えることができるはずだ」

 現在、アドリア・レースウェイではトラックのレイアウト変更や延長を含めた抜本的な改修作業が続いており、落成の暁にはWTCRのレース内容にも「大いなるメリットがもたらされるだろう」とリベイロ代表。

「すべてのWTCRドライバーにとって未経験のトラックが、我々のカレンダーに追加されればシリーズにとって非常に興味深い体験になるだろう。このアドリア完成により、イタリア最初のWTCRイベントが成功を収めるのは間違いない」

「今季ここまで、ドイツ、ポルトガル、スペインでのアクション満載の週末を振り返れば、4社の異なるカスタマーレーシング・ブランドと、6つのチームから6人の異なる勝者が生み出された。来月のハンガロリンクも、引き続きスペクタクルな週末になると期待している」

 そのハンガリー戦を経たWTCRは再び約2カ月近い空白期間が発生し、10月に韓国のインジェ・スピーディウムでのレースが予定されている。しかし、世界的に蔓延の収まる気配がない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の変異や、それに伴う各種の移動制限、行動制限など各国の政策次第では、今季のアジア・ラウンドが開催できるかどうかも不透明な情勢だ。

 そうした状況を横目に、ヨーロッパから各車両やイベント運営設備を運ぶ海上輸送便の締め切りも迫っており、GOサインが出せるかどうかは近日中にも決定が下されるという。

 仮にアジアのフライアウェイ戦がキャンセルされた場合、昨年と同様の措置として、ヨーロッパのいずれかの地域で追加のイベントが候補に上がる可能性も出てきている。

アジア・フライアウェイ戦にはリンク&コーのお膝元である中国や、ヒュンダイの地元韓国戦も含まれる
11月末に予定されている伝統のマカオ、ギア・サーキットでの1戦も予断を許さない状況に

© 株式会社三栄