【柔道】金メダルの阿部一二三が畳で表現を崩さなかったワケ「しっかり礼をして感謝の気持ちで畳を下りた」

畳の上で感謝の意を表した阿部一二三

東京五輪の柔道男子66キロ級で金メダルを獲得した阿部一二三(23=パーク24)が表情を崩さなかった理由とは――。

阿部は昨年12月の五輪代表決定戦で丸山城志郎(ミキハウス)と対戦。約24分間の死闘を制した際には、大きくガッツポーズをして喜びを表現していた。しかし、この日の決勝でバジャ・マルグベラシビリ(ジョージア)に勝利を収めても、淡々とした表情を貫いた。

試合後のメダリスト会見では「(代表決定戦の)あのときの感情はすごいうれしくて、喜びはあった」と振り返った上で「あのときに思ったのが、顔を上げて、胸を張ってしっかり礼をして畳を下りたいと思った。なので、五輪の舞台でしっかり胸を張って礼をして、感謝の気持ちで畳を下りた」と意図を明かした。

新型コロナウイルス禍の影響で1年となった東京五輪は23日に開幕。とはいえ、依然として多くの人が苦しんでいるのが現状だ。だからこそ「開催されなかったら金メダルはなかった。本当に東京五輪を開催してくれた方々に感謝の気持ちでいっぱい。僕たち選手は感謝しかない」と神妙に語った。

前日(24日)には、男子60キロ級で金メダルに輝いた高藤直寿(パーク24)畳から下りる際に正座してから座礼した姿が大きな話題となった。

2日連続で世界の頂点に立った柔道男子日本代表。強さの秘密は礼にあるのかもしれない。

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