日本を決勝に導いたのは若き左腕だった。東京五輪のソフトボール1次リーグ(25日、横浜スタジアム)で日本がカナダに延長8回の末、1―0でサヨナラ勝ち。エース・上野由岐子(ビックカメラ高崎)の救援で7回から登板した後藤希友(20=トヨタ自動車)が好投で流れを引き寄せた。勝てば銀メダル以上が確定する大一番。重圧のかかる場面でも強心臓ぶりは健在だった。
7回を三者三振で締めると、無死二塁から始まるタイブレークの8回もストレートとチェンジアップを織り交ぜて三者三振。神がかり的な投球だった。後藤と所属先でバッテリーを組む代表戦士の峰幸代捕手は「左投げで投球フォームがちょっとノーマルじゃなくて、ステップも広いし、出どころもすごく打者に近い感覚がある。そこからスピードボールが来て、なおかつ下回転がかかっているので、打者はなかなか捉えにくいかなと思う」と特徴を分析する。
変則かつクセのあるスピードボールで打者を手玉にとる後藤は、まさに救援に打ってつけ。さらに、峰は「右打者でも左打者でも苦手意識がないところが強み」と指摘する。左投手=ワンポイントのイメージもあるが、右打者の内角にもズバッと投げ込むことができるため、ベンチも複数回を安心して任せられるというわけだ。
泣いても笑っても残り2試合。26日に米国と1次リーグ最終戦を戦った上で、27日の決勝で再び米国と戦う。悲願の金メダルへ「チームに貢献できるように頑張りたい」と意気込む後藤がライバルの前に立ちはだかる。