パンのやわらかさが長持ち!トレハロースとは

パンのやわらかさが長持ち!トレハロースとは

トレハロースってどんなもの?

皆さんは、「トレハロース」という食材をご存じでしょうか? もしかしたら、まだなじみが薄いかもしれませんね。 今回は砂糖ほど多く使うわけではないけれど、パンやお菓子に使うとうれしい効果がある糖質「トレハロース」について解説していきます。

トレハロースとは

トレハロースとは、砂糖と同じ天然の糖質。きのこ類や酵母など、身近な食品にも含まれていて、人工甘味料ではありません。 酵母でつくるビールやパンなどにも当然含まれるため、私たちは意識せずトレハロースを摂取していることになります。 現在市販されているトレハロースのほとんどは、トウモロコシ・ジャガイモ・タピオカなどのデンプンから作られており、甘さは砂糖の40%ほど。 パンやお菓子、総菜など、幅広い加工食品に使われています。

トレハロースの効果

パンやお菓子作りにトレハロースを使用することによって、どのような効果が得られるのでしょうか。 トレハロースの代表的な効果を解説します。

老化を抑制する

トレハロースには、デンプンの老化を抑制する働きがあります。 時間の経過とともに、かたくぼそぼそとした食感になり、消化しづらくなるパンや餅の老化現象。トレハロースはこの老化を抑え、やわらかな食感とおいしさを長時間保ってくれます。

保水性がある

トレハロースには、水分を保つ保水性があります。 パンやお菓子などが乾燥してパサパサになるのを防ぐことができるので、しっとりとした食感を長時間保ちたい場合に効果的です。

気泡を安定させる

トレハロースには、卵の気泡を安定させる働きがあります。 メレンゲに使うと、気泡がつぶれにくく、ボリュームときめ細かさを保つことができます。

タンパク質の凝固を抑制する

トレハロースには、卵などに含まれるタンパク質が、熱によって凝固するのを抑制する働きがあります。 例えば、半熟状態が長く続くため、スクランブルエッグやだし巻き卵もふんわり。 プリンはやわらかくなめらかな状態に仕上がります。

入れすぎ厳禁!パンに使うときの注意点

パンにトレハロースを使用する際は、その効果を存分に発揮させるために、いくつか注意点があります。 しっとりやわらかく仕上げたいから、砂糖全量をトレハロースに置き換えればいいのでは!という考えは危険。 注意点を確認しましょう。

イーストの栄養源になりにくい

砂糖とトレハロースをそれぞれイーストと一緒に溶かし、変化を見てみました。材料

  • 30℃のぬるま湯…50g
  • インスタントドライイースト…1g
  • 砂糖・トレハロース…各5gずつ

条件

  • 室温で1時間置いておく

結果

砂糖の器は、気泡がたくさん出ているのが見えますね。これは、発酵が進んでいる証拠。 トレハロースの器は、気泡が見えず、発酵が極端に鈍いのがおわかりいただけると思います。 トレハロースのみでは、イーストの力を発揮させることが難しいようです。

パン生地の甘みが減る

トレハロースのカロリーは砂糖と同じ約4kcal/gですが、甘みは砂糖の40%ほど。 砂糖全量をトレハロースに置き換えると甘さが足りず、思ったような仕上がりにならない原因になります。

焼き色が付きにくい

トレハロースは砂糖と違い、加熱してもメイラード反応を起こしにくい糖質。 そのため、パンの焼き色が薄くなります。 逆に白パンなど焼き色を付けたくないパンのときには、効果的。

グルテンの形成に時間がかかる

トレハロースが多すぎると、グルテンを形成するまでの時間が長くなる傾向にあるといわれています。 砂糖が多い配合の場合、全量をトレハロースに置き換えると、必要以上にこねに時間がかかってしまうことにも。 以上のことから、砂糖全量の代わりに使用するのではなく、使用する砂糖の20~50%をトレハロースに置き換えて併用するのがよいでしょう。

トレハロースの有無でパンを比較してみた

砂糖のみで作ったパンと、トレハロースを加えたパンで、作業工程と焼き上がりを比較してみました。条件

  • トレハロースの置き換え量は、使用する砂糖の50%
  • その他の配合・工程は全て同様

こね

適正な使用量の場合、差はほとんど感じない。

発酵

一次発酵

二次発酵

一次発酵、二次発酵ともに、大きな差は見られない。

焼き上がり

砂糖のみのパンは、しっかりとした焼き色が付く。 トレハロースを使用したパンは、全体的に焼き色が薄い。

味・やわらかさ

焼成当日

今回は砂糖の配合率が10%と少なめのレシピということもあり、甘みの強弱などの違いはほぼ感じない。 焼成当日はどちらも同じようなやわらかさ・しっとりさ。焼成から三日後

砂糖のみの生地は老化が進み、弾力がないのでしなりがほとんど見られません。 トレハロース使用の生地は老化が抑制され、当日と同様にしっとりやわらかで生地がしなっています。

まとめ

トレハロースは、特徴を理解したうえで上手に活用すれば、いつも作っているパンをワンランクアップさせてくれる食材です。 ぜひ一度試してみてくださいね♪

材料・道具を探す

© 株式会社TUKURU