諫早・轟峡のり面崩壊1年 市長ら献花 再発防止誓う

事故現場に向かい花を手向ける大久保市長=諫早市、轟峡

 長崎県諫早市高来町の轟峡でのり面が崩壊し、親子3人が死傷した事故から1年となった25日、大久保潔重市長ら市幹部が今も閉鎖が続く現地を訪れ、亡くなった2人を悼み、献花した。
 事故では、県道に面した飲食店そばから轟の滝へ下りる遊歩道にいた親子が巻き込まれ、母子2人が死亡、子ども1人が負傷した。崩壊した保安林については県の治山事業として秋以降に復旧工事が始まる予定だが、轟峡再開の見通しは現時点で立っていない。
 市が設置した再発防止検討委員会(委員長・蒋宇静(ジャンイジン)長崎大大学院教授、5人)は3月にまとめた提言書で、飲食店直下の石積みとコンクリートの擁壁が最初に崩壊したと分析。昨年7月豪雨で石積みや擁壁の背面にまで水位が上昇した地下水が誘因となったほか、長い年月で擁壁基礎地盤の支持力が低下したことなど「複合要因で突発的に発生した」と結論付けた。一方で、関係機関とも連携した安全管理体制の強化などを市に求めた。
 事故現場近くで黙とう、献花した大久保市長は報道陣に「提言を踏まえ、再発防止策に努めていきたい」と話した。

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