東京五輪バスケ 日本 スペインに惜敗 田中、夢舞台に司令塔で先発

 米プロNBAでプレーする八村、渡辺雄らを擁する“日本版ドリームチーム”。長崎県雲仙市出身の田中は、その司令塔としてスタメンでコートに立った。結果は3大会連続でメダル獲得中のスペインに77-88。あらためて世界レベルを体感するスタートとなったが、田中は「確実に(2019年)ワールドカップの時よりも戦えている。みんなもそう感じていると思う。やってきていることは間違っていない」と敗戦をプラスに捉えた。
 5戦全敗だった2年前のワールドカップ。ほとんどの選手にとって未知の領域だった世界の舞台で、技術や精神力の未熟さを痛感させられた。田中も「力の差、世界の圧を経験した」。
 以降、史上最強と評されたチームは、悔しさを糧に進化した。「今は世界基準を想定できているところが、W杯の前と一番違う」。田中も常に世界のトップと戦うイメージを持ちながら、自らを磨き続けた。
 五輪直前の強化試合で世界ランキング7位のフランスに競り勝ち、弾みをつけて挑んだスペイン戦。序盤は全体的に硬さが目立つ中、田中が第1クオーター3分、ゴール下から日本の五輪最初の得点を決めた。渡辺雄らの活躍で第2クオーター5分すぎには26-26の同点に追いついた。その後はスペインペースとなったが、諦めずに猛追。田中も冷静なアシスト、持ち味の懸命なディフェンスで戦い抜いた。
 1次リーグ残り2試合はスロベニア、アルゼンチンと対戦する。世界ランキング42位の日本にとっては、どちらも格上の相手だが、この日、チームは可能性を見せてくれた。日本の今回のテーマは「世界を驚かす」。夢物語ではなくなってきた。

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