遺言書保管制度 開始1年 申請154件にとどまる 長崎地方法務局 「終活」へ活用呼び掛け

 手書きの遺言書を地方法務局の本局や支局などで保管できる「自筆証書遺言書保管制度」が始まって1年。遺言者本人のみで手軽に作成でき、費用もさほどかからない保管方法だが、長崎地方法務局は「利用者はまだ少ない」として、同制度に基づく申請を呼び掛けている。
 自宅などで保管される遺言書は、本人の死亡後、紛失したり、一部の相続人に改ざんされたりする恐れがあるという。同制度はこうしたトラブルを回避し、円滑な相続を後押しするため、昨年7月に始まった。
 同法務局によると、この1年間の保管申請(6月末現在)は全国で2万849件。県内では同法務局供託課と県内7支局の計8カ所で受け付けているが、申請は計154件(同)にとどまり、チラシや公民館講座、自治体の広報紙、ホームページなどを利用したPRに力を入れている。
 公正証書遺言のように法律の専門家から遺言内容などについて助言は受けられないが、書類に不備がないか外形的な確認作業(日付、署名、押印など)は実施される。公正証書遺言同様、民法に基づく死亡後の家庭裁判所での遺言書検認も不要だ。申請手数料は1通3900円。
 同法務局供託課は「高齢化の進展で『終活』が浸透しつつある。争うことなく財産を確実にご家族に託す方法の一つとして、この制度を活用してほしい」としている。手続きは予約制。問い合わせは長崎地方法務局供託課(電095.826.8127)。

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