「海岸の石ころ送って」呼び掛けに1万いいね 長崎の親子 全国の協力に感謝

多くの反響を喜ぶ唯人君(左)と和花さん=長崎市内の自宅

 「息子が夏休みの自由研究に使います。お近くの海岸の石ころを着払いで送ってください」-。長崎市の主婦、相庭淳子さん(47)がツイッターで協力を呼び掛けたところ、約1万件の「いいね」が付き、各地から石が届き始めた。思いがけない反響と展開に、親子で驚いている。
 相庭さんは一男一女を持つ、自称“生きもの大好き母ちゃん”。カブトムシやクワガタは卵から育てるほどで、普段は虫好きの仲間との情報交換用にツイッターを活用している。
 長女の和花(のどか)さん(13)=西浦上中2年=が小学校に入った頃から、夏休みは親子で自由研究に没頭するのが恒例。これまでも、海岸の砂鉄をひたすら集めて巨大砂鉄時計を作ったり、消しゴムの削りかすを全部集めて計量したら固形の状態と比べて変化するのかを検証したりと、淳子さん自身、毎年楽しみにしている。子どもたちもほとんどの宿題を早々に終わらせ、研究の時間を確保する周到ぶりという。
 石の研究のきっかけは長男、唯人(ゆいと)君(9)=女の都小4年=が学校図書館で借りてきた海辺の石ころ図鑑で、採取場所として全国94の海岸が掲載されていた。「現地には行けないけど、本に載っている石をこの手で触ってみたい」。唯人君は実物の石を並べて“触れる図鑑”を作ろうと思い付いた。
 「数人でも協力してくれる人がいれば」と、図鑑に掲載されている海岸のリストの画像と共に、淳子さんがツイッターで呼び掛けたのが7月14日。投稿を見た全国各地の人から、すぐに千件ほど協力の申し出があった。
 「誹謗(ひぼう)や中傷なら“炎上”になるけど、教育のために使えばこの場から全国の人とつながれる」と和花さん。中には、採取禁止の場所があることを教えてくれたり、送料まで心配してくれる人がいたりして、メディアで発信することの影響力を肌で感じる機会になった。
 メッセージはすべて印刷し、親子で手分けして地方ごとに分別。淳子さんはメッセージをくれた全員に返信した。「協力してくれる人が、採取禁止と知らずに石を拾って捕まってしまわないように」(唯人君)と、現地の役所へ電話で問い合わせを続けている。
 連休が明け、各地から石が届き始めた。びっくりするほど軽い石もあれば、ぼこぼこ、つるつるとした手触りの石もある。成果をどのようにまとめるか、唯人君は構想を練っている最中だが、できるだけたくさん集まればいいなとワクワクしながら待っている。
 「ただの石ころも、たくさんの人が送ってくれたものが集まれば宝石になるね」。親子は多くの協力者に感謝している。

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