本県関係者 ねぎらいの声 柔道男子・井上監督退任へ

 東京五輪・柔道最終日の混合団体で31日、日本は銀メダルに終わったが、男子は過去最多5個の金メダルを獲得した。今大会を区切りに大役を終える意向を表明した井上康生監督(43)に、地元関係者からは「よく頑張った」「お疲れさま」とねぎらいの声が聞かれた。
 混合団体での敗戦を「集大成として金メダルを取りたかっただろう。悔いが残るところもあると思うが、力を出しきったのでは」と語るのは、幼少から共に競技に打ち込んできた兄・智和さん(45)=警視庁教養課。康生さんが監督を引き受けて覚悟を決めた様子や心労でげっそりしていた頃も知っており、「心身ともにつらい、苦しい時期もあったと思う」と気遣う。
 退任後は「休んでほしいけど、日本柔道界、スポーツ界のために動き続けるのでは。一柔道家としては、それを期待している」と複雑な心境をのぞかせた。
 井上監督が子どもの頃から足を運び、選手時代も帰郷のたびに訪れた宮崎市のすし店「夕顔寿し」。同店を営む松田芳夫さん(77)は混合団体決勝について「力が抜けた。残念」としつつ「長い間本当によく頑張った」とねぎらった。
 「学生の頃から後輩の面倒見がとても良かった。選手やスタッフとの強い絆が今回の成果につながったのだと思う」と金メダル量産を評価。新型コロナの影響で最近は会えていないが「落ち着いたら好物の詰まった巻きずしを好きなだけ食べてほしい」と語った。
 井上監督と宮崎市の道場・静充館で小・中学の7年間汗を流してきた宮崎市吉村町、会社員鳥入嘉仁さん(42)は、金メダル5個獲得に「本当に勇気と感動をもらった」とたたえる。
 当時からずばぬけて強かった井上監督だったが「現状に満足しない、努力の天才だった」という。指導者としても大成したことに、「ただ強いだけでなく、人間性も優れていたから代表の選手全員がついてきたのでは。今はただ、お疲れさまと言いたい」と話した。

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