スケボー・堀米、サーフィン・五十嵐… 新種目メダリストがつかむ〝ジャパニーズドリーム〟とは

初代王者の堀米(ロイター)

東京五輪は早くも後半戦に突入。前半は柔道で史上最多9個の金メダル、競泳・大橋悠依の2冠などに沸く中、新種目での躍進も目立った。スケートボード男子ストリートで堀米雄斗(22=XFLAG)が金メダルに輝き、サーフィン男子では五十嵐カノア(23=木下グループ)が銀メダルを獲得。これらの新種目には、他競技と一線を画す共通点がある。五輪での活躍をきっかけに、スポーツの枠を超えて〝ビッグドリーム〟をつかむ可能性を秘めているのだ。

新種目のスケートボードとサーフィンは、すでに世界的に人気のあるスポーツで他競技とは一線を画す共通点がある。大手広告代理店関係者は「ファッション界への影響力が非常に大きい。ストリートウエア業界ではスケートボードやサーフィンの選手や関係者が立ち上げたブランドが人気になることが多く、スポーツから離れてアパレルブランドとして広く普及しているものも多い」と説明する。

米国を中心に世界のストリートウエア業界は活況を呈しており、現在の市場規模は5~6兆円といわれている。近年大きな注目を集めているストリートブランドの「シュプリーム」は創業者のジェームス・ジェビアがスケートボードショップから始めたもので、サーフブランドの「ステューシー」もサーファーだったショーン・ステューシーが立ち上げた。プロスケーターのキース・ハフナゲルが立ち上げた「ハフ」も人気だ。

さらに、高級ブランドや大手スポーツ用品メーカーが人気選手とコラボレーションするケースも増えており、トップ選手になれば競技だけでなく実業家としての成功も大いに見込めるのだ。

「選手の人気は実績だけでなく〝カリスマ性〟が重要視される世界で、ただ勝てばいいというわけではない。それでも五輪の初代王者という肩書は非常にインパクトが大きい。しっかりしたプランのもとで事業を立ち上げればアパレル業界でも爆発的な人気につながる可能性もある」と同関係者。堀米は多くの有力選手を倒して金メダルを獲得し、五十嵐も決勝では敗れたものの準決勝で世界最強サーファーのガブリエル・メジナ(ブラジル)を撃破して世界に衝撃を与えた。

今後メダリスト2人が世界的なカリスマになり、数十兆円が動くアパレル業界の超巨大市場で〝主役〟になる可能性も十分にあるのだ。シンデレラボーイたちの〝ジャパニーズドリーム〟はまだ始まったばかりだ。

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