【クイーンS】課題克服のテルツェットが差し切りV ルメール「能力があるのはわかっていた」

馬群を切り裂いて2つ目の重賞を手にしたテルツェット

1日に函館競馬場で行われたGⅢクイーンS(芝1800メートル)は、ルメール騎乗のテルツェット(牝4・和田郎)が後方から鋭く脚を伸ばして差し切った。勝ち時計は1分47秒8。重賞勝ち馬ながら、距離延長、初コース、気性難という課題があり3番人気にとどまっていたディープインパクト産駒がここでも“はじけた”要因を探った。

レース直前に降り始めた雨は見る間に激しくなり、馬場悪化が懸念されたが、テルツェットは気にする様子もなく、いつものように前半淡々と後方を追走した。これによりしっかり脚がたまり、直線の伸び脚は桁違い。小回りをモノともしない追い込み勝ちを決めた。

騎乗したルメールは「ずっといい感じ。いつも通りスタートから後ろにつけて、冷静にリズム良く走ってくれた。前の馬が動いてくれたのでいい目標になった。彼女に能力があるのはわかっていたので、パワーアップしたら秋が楽しみになる」。笑顔でパートナーの勝ちをたたえた。

テルツェットは昨年の1勝クラスの特別から今年のダービー卿CTまで4連勝したが、5月のGⅠヴィクトリアマイルでは落ち着きを欠いて14着に惨敗。そこから精神面強化の課題に取り組んだ。

和田郎調教師は「ゲートの駐立も良かったし、(精神面は)前走よりだいぶ良かった。なるべく力まないように、普段から取り組んできて、その成果が出た」。続けて「ペースは速かったが、ジョッキーが冷静に乗ってくれて、馬群の中でよく誘導してくれた。馬もひるまず頑張ってくれた。雨は問題なく、軟らかい馬場でもスイスイ走ってくれた」とレースを振り返った。

前週の新潟GⅢアイビスSDでは、万全を期して送り込んだ“直線王者”ライオンボスがオールアットワンスから3/4馬身差の2着。厩舎として苦い敗戦を喫していただけに、喜びもひとしおのようだった。

テルツェットはレース後ノーザンファーム天栄へ移動。レースの疲れを取り秋に備える。秋の具体的なローテーションについては「千八までこなせることがわかった。今後は馬の様子を見ながら選択していく」と和田郎師。この日見せた決め手は春から一段上のレベルだっただけに、どのレースを選ぶにせよ、その末脚は要マークといえる。

ちなみに、ルメールは函館の重賞9回目の騎乗で初勝利。これでJRA重賞制覇9場目となり、全10場制覇に王手をかけた。あとは小倉を残すだけだ。

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