【侍ジャパン】「逃げられない男」千賀が3者連続三振含む2回5K無失点の快投

2回5K無失点と好投した千賀

「逃げられない状態にきた」の覚悟を持って五輪のマウンドに上がった男が、不安を一掃した。東京五輪で悲願の金メダル獲得を目指す野球日本代表・侍ジャパンは2日、決勝トーナメント・準々決勝の米国戦(横浜)に臨んだ。

1点を追いかける展開の中盤6回。4番手で五輪初マウンドに上がったのは鷹のエース・千賀滉大だった。先頭から変化球主体の投球で3者連続空振り三振。続く7回もマウンドに上がり、中軸から始まる打順を封じた。二塁打と四球で走者を背負ったが、この回も2つの三振をいずれも空振りで奪いピンチを脱した。伝家の宝刀「お化けフォーク」で2つ、課題だった真っすぐで2つ、カーブで1つと5奪三振。2回1安打無失点に抑える好リリーフだった。

今季は開幕に出遅れ、4月のシーズン初登板で左足首靱帯損傷のケガを負った男は、脅威の回復を見せて代表に追加招集された。だが、その後、本来のパフォーマンスを取り戻せず苦闘。それでも持ち前の修正力と投球術で侍の力になれる自信があった。この日の投球はまさに、引き出しの多い千賀らしい投球だった。

大会前、世間の不安視する声を真正面から受け止めた。「投手というのはマウンドで良い悪いがはっきり目立つ職場。ちゃんとしないことには悪い意味で目立つ」。そこには強い覚悟とともに、意地があった。

降板後、ベンチで柔和な笑みを浮かべた千賀。金メダルへの道が続く中で、稲葉ジャパンに明るい光を灯す35球だった。

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