ナンペイ事件から26年 解決に向け向上する捜査技術

東京・八王子市にかつてあったスーパーマーケットの事務所で発生した殺人事件から26年がたちました。事件を振り返るとともに、未解決事件を解決しようと日夜努力する警察の最新捜査技術をまとめました。

「ナンペイ事件」といわれるこの事件は今から26年前の1995年7月30日夜、八王子市大和田町にあったスーパー「ナンペイ」の2階事務所で起きました。高校生だった矢吹恵さん(当時17)らアルバイトとパートの女性3人が何者かによって頭や顔を拳銃で次々と撃たれ、殺害されました。警視庁は事件発生からこれまでに延べ21万人以上の捜査員を投入していて、およそ1500件の情報が寄せられています。しかし事件解決につながる情報はなく、未解決のまま26年が過ぎました。

ただ、警視庁も捜査技術の向上に伴い、ここ数年も新たな情報が公表されています。現場に残されていた靴の跡から該当するスニーカーは2種類あることが判明し、靴の特徴が警視庁のホームページに公開されました。また、当時の写真を基に作製した3Dのイメージ動画もホームページに公開されています。動画には、当時ナンペイの駐車場に若いカップルが目撃されていることや、事件の当日は近くの公園で盆踊り大会が行われていたことなどが再現されています。こうした最新技術を使って当時の記憶を呼び起こしてもらい、情報提供につなげたい考えです。

最新技術は捜査や鑑定をする際にも使われています。例えばDNA型を照合する時、最新の技術では個人の識別率は「兆」の単位の上となる565京分の1(5650000000000000000分の1)となり、DNA型の照合で個人を特定する場合、ほとんど間違いがないところまで精度が向上しています。その他、写真や動画の解析や復元技術の向上などもあって、これまで立証できなかった証拠品を洗い出し、犯人の特定につなげることができるようになりました。

技術の向上などで解決した事件が警視庁管内でことし2件ありました。1つは1999年に足立区西新井大師で乳児の遺体が見つかった事件で、遺体に付いていた胎盤のDNA型を最新技術で照合したところ、母親が特定できました。そして母親はことし2月、書類送検されました。もう1つは都内の住宅で2013年、当時10歳だった知人の女の子に性的暴行を加えたとして男が逮捕された事件です。この事件では男が削除した画像を復元したことで逮捕に至りました。

最新技術によって20年以上もたった未解決の事件が解決することもあり、捜査技術も年々進化しています。未解決の事件に関しては警察が捜査を継続し、情報提供も呼び掛けています。被害者遺族のためにも事件解決を願いたいものです。

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