東京五輪 陸上女子5000 廣中が日本新の快挙 食らいつく走りで9位

 3000メートル付近でトレードマークの帽子を投げ捨て、懸命に食らいついた。女子5000メートル決勝。廣中は諦めずに前を追った。日本人25年ぶりの入賞こそ届かなかったが、14分52秒84で9位と健闘。福士加代子の日本記録を16年ぶりに0秒38塗り替えた20歳は「自分にとって一歩前進」と笑顔でレースを振り返った。
 14分台前半の自己記録を持つ海外勢の中、7月30日の予選同様に序盤から前に出た。1500メートルすぎに先頭を譲ったが、そこまでは堂々とレースをリード。2位以下との差を大きく広げる場面もあった。
 終盤は先頭集団から離されたが、最後の1周は「何が何でも諦めない。振り絞ろうと思って腕を振った」。トレードマークの帽子はない。髪を風になびかせながら、意地の走りで順位を上げてゴールに飛び込んだ。
 身長163センチで大きなストライドが特徴。近年の躍進は目覚ましく、今季は日本選手権で1万メートルとの2冠を達成した。予選で自己記録を大幅に更新。女子マラソン代表の鈴木らも指導する所属先の高橋監督が「手抜きがない。普段からすごく自分自身と戦っている」とうなるほど、練習への集中力が抜群だ。
 7日の1万メートルも出走するが、今大会の「本命」は5000メートルだった。そのレースで大きな可能性を感じさせた日本のホープは「1万メートルも自分のスタイルを崩すことなく、気持ちで負けない走りをする」と早くも次を見据えていた。

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