【ボクシング】入江聖奈が女子初の金メダル!「歴史の扉を全開にしちゃった」

日本女子初の五輪金メダルを獲得した入江聖奈

東京五輪のボクシング女子フェザー級決勝が3日、両国国技館で行われ、入江聖奈(20=日体大)がネスティ・ペテシオ(フィリピン)に5―0で判定勝ち。同競技の日本女子として初めての五輪で金メダルを獲得し、歴史に名を刻んだ。

勝利が決まった瞬間、両手を突き上げ、自然と涙があふれた。戦った相手への敬意、相手陣営へのあいさつも忘れない。表彰台のテッペンに上ると、感無量の表情で君が代に耳を傾けた。

試合後、入江は「気が付いたら表彰台に立っていて、君が代が流れていた。何となく世界一になれたんだと思った」と屈託ない笑顔。最高の栄誉を手にしたが、試合終了から約2時間後の記者会見でも「この1年間、ボクシングに捧げてきたので、まだ終わった実感がわかないです」と話した。
両親は格闘技とは無縁。小学2年でたまたま母が読んでいたボクシング漫画「がんばれ元気」に影響されて競技生活を始めた。2013年に東京招致が決まってからは、この場で金メダルを取ることだけを目指してきた。得意の左ジャブは「男子選手のユーチューブを見たり(重りが入った)レジ袋を持ち上げて手首を鍛えたり小さい頃から頑張ってきたパンチ。左ジャブだったら負けない自信がある」と話すが、その一方で「逆上がりもできないくらい運動おんちなので、運動が苦手な子でも努力を諦めなかったら何かをつかむことができるんだよって教えてあげられたのかな、と思います」とほほえんだ。

かねて女子ボクシングの普及を目標に掲げていたが、この勝利で名前は全国区になった。「私が金メダルを取ったことでメディアの方々にも取り上げていただけるチャンスが増えたと思うので、そこを入口にして女子ボクシングが盛り上がっていったら」と言いつつ、日本人女子初の快挙には「歴史の扉を全開にしちゃったかなって思います」と笑った。

現在、大学3年生。次なる目標は「世界選手権でも金メダルを取ること」と目を輝かせるが「自分の中で有終の美で終わりたいっていうのが強くありまして、大学いっぱいでボクシングはやめるつもり。好きなゲーム会社で就活したいと思います!」と将来設計を語った。

強く、明るく、礼儀正しい。女子ボクシング界を制圧した後も、引く手あまたの人生が待っているだろう。

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