北東アジアでの核兵器使用 長大レクナが可能性研究 非核地帯の実現へ

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は3日、米国や韓国などの専門家と共同で、北東アジアでの核兵器使用の可能性に関する研究を本年度から始めたと発表した。レクナが核兵器の使用とその評価を研究テーマとするのは初。3年間かけて、核兵器使用の可能性や影響、リスクを最小化するための施策について検証を進める。
 「北東アジア非核兵器地帯」の実現を目指す取り組みの一環。核の脅威を現実的に認識し、そのリスクについて理解を深める狙い。
 2025~30年ごろの世界を想定し、主に朝鮮半島の危機に焦点を当てる。初年度は、意図的、偶発的、テロ行為など、核兵器が使用される複数の事例を作成。2年目以降、使用された場合の死傷者やインフラの破壊、気候変動などの影響評価を加えた上で、核政策を再評価し、リスクを最小化するための政策提言につなげる。
 米国のノーチラス研究所などの協力を得て研究を進め、朝鮮半島情勢や核戦略、ミサイル防衛などに詳しい専門家が参加する。各年度ごとに報告書や中間報告を発表する予定。
 会見したレクナの吉田文彦センター長は「北東アジアで核兵器が使用された場合のことを突き詰めて考え、どれほどの被害が生じるかを専門的に分析することで、いかに非人道的であるということをきちんと描き出したい」と研究の意義を語った。

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