マンホールのふたにお城と大名行列 小田原で30年ぶり一新へ、高校生の図案採用

新たなマンホールをデザインした山口さん=小田原市役所

 神奈川県小田原市内のマンホールのふたのデザインがおよそ30年ぶりに一新されることになり、地元の県立小田原城北工業高校(同市栢山)の3年生山口優香さん(17)の図案が採用された。梅の香る小田原城の前を行き交う大名行列─。市内の2万5千個のマンホールが順次入れ替わり、山口さんは「小田原の魅力を詰め込んだ。細かな小田原城のデザインも見てほしい」と喜んでいる。

 現在のマンホールは1988(昭和63)年に市職員がデザインしたもので、歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」のうち小田原宿の「酒匂川の渡し」をモチーフに描かれた。市担当者は「令和の元号になり、新たなデザインを若い世代に考えてほしい」と新たな図案作りを同校に依頼した。

 同校デザイン科全生徒約100人が提出したデザインのうち、迫力や臨場感がある山口さんのデザインが採用された。小田原名産のウメや小田原提灯(ちょうちん)のほか、天守閣前の学び橋を歩く大名行列が掲げるのは北条家の「鱗紋(うろこもん)」の軍旗だ。

 秦野市在住の山口さんは小田原の歴史や名産を調べデザインに落とし込んだ。「小田原のにぎやかなところを出したいと思い、遠近感や躍動感に苦労した。自分のデザインが多くの人の目に入るのはうれしい」と振り返る。

 新たなデザインのマンホールは9月、小田原城址公園内に第1号を設置。将来はグラフィックデザイナーを目指す山口さんは「人に喜んでもらえるデザインをできるように頑張りたい」と目を輝かせた。

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