長崎県内 最低賃金「821円」 長崎地方審が答申 最短で10月頃適用か

 長崎労働局長の諮問機関、長崎地方最低賃金審議会(会長・松本睦樹長崎大名誉教授)は6日、本県の最低賃金について、現行の時給793円から28円引き上げ、821円とするよう瀧ケ平仁局長に答申した。初めて800円を超える見通しとなった。
 引き上げ額は、先月、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が示した目安「全国一律28円」と同じ。時給で示すようになった2002年度以降最高だった19年と同額だった。
 労働者、使用者、有識者からなる中央審では、新型コロナウイルス禍の影響が続く中、労働者側が大幅増、使用者側は増額なしを求めて激しく対立。全会一致で決定していた慣例が崩れて異例の採決となり、使用者側が反対する中、目安が28円に決まった経緯がある。
 長崎地方審でも、使用者側は、コロナ禍で経済が疲弊しており、賃上げに対応できず最低賃金法で罰せられる中小企業を生み出す懸念があると主張。労働者側は、最低賃金レベルで働く労働者の生活の底上げや地域間格差の解消などを理由に賃上げを求め対立した。
 最終的には、本県だけが据え置けば目安に沿って賃上げした他県と格差が生じることや、労働者の生活状況を考えると引き上げざるを得ないと判断。賛成多数で引き上げが決まった。
 23日まで異議申し立てを受け付け、答申内容を踏まえて労働局長が最低賃金を決定する。最短で10月2日に適用される予定。
 本県の現行の最低賃金793円は全国2番目の低水準。労働局によると、同額だった熊本県では28円増で答申されたという。

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