鷹島海底遺跡 元寇船いかり引き揚げ 来秋に延期 周辺のいかだ移転考慮

来秋引き揚げが予定されている元寇船の木製いかり(赤線)=2013年、松浦市鷹島町(市教委提供)

 長崎県松浦市は6日、今秋以降に実施を予定していた同市鷹島沖の「鷹島海底遺跡」から元寇船の木製いかりを引き揚げる計画を来年10月上旬ごろに延期すると発表した。
 引き揚げる木製いかりは2013年に鷹島沖約150メートル、水深21~22メートルの海底で発見されていたもの。約2メートルの木材部分と、長さ2.3メートル、中央部分の幅50センチ、厚さ35センチの1本の石材を組み合わせた「一石型」と呼ばれるタイプ。
 市は昨年11月から今年2月までにガバメントクラウドファンディングで引き揚げ費用を募り、目標額(1千万円)を超える1152万3千円が集まった。寄付者には特典として「いかり引き揚げ見学ツアー」(定員40人)も実施する計画だった。
 延期は周辺海域にある養殖いかだの移転が来年1月ごろになることと、陸上で種苗(稚魚)生産している業者の取水口が近くにあることを考慮。市はこれらへの影響がなくなる来年9月から準備作業を始め、10月上旬をめどにいかりの木材部分と石材部分を2日間にわたって引き揚げる計画。
 見学ツアーには59人の応募があり、市は1年の延期を受けて全員を当選として実施することを表明。会見した友田吉泰市長は「実施に向けて調整してきたが、諸事情で延期せざるを得なくなった。来秋にはいかり引き揚げを成功させ、将来の元寇沈没船引き揚げにつなげたい」と話した。

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