【空手】大粒の涙は努力の証「メダルなしでは帰れない」 荒賀が執念の銅メダル

銅メダルを獲得した荒賀龍太郎

大粒の涙があふれ出た。東京五輪・空手男子組手75キロ超級(7日、日本武道館)の準決勝が行われ、荒賀龍太郎(荒賀道場)はタレグ・ハメディ(サウジアラビア)に0―2で敗れたものの、銅メダルを獲得。男女組手日本勢メダルゼロの危機は回避したが、悔しさの残る結果となった。

「メダルなしでは帰れない」。大トリで登場した荒賀は、1次リーグを全勝で準決勝に進出。金メダルも視界に入った中での準決勝だったが「最初から自分のペースに持ち込んで試合を進めたかった。相手の前足を警戒し過ぎて、逆にペースをつかまれて、先取点を取られたところが敗因」と唇をかんだ。

〝スピードドラゴン〟の異名を持つ荒賀は、全日本選手権で5度の優勝。2016年世界選手権でも優勝を果たしたが、近年は苦しい戦いを強いられていた。

それでも、男子75キロ級の西村拳(チャンプ)が「練習に紳士に取り組む姿勢や空手道に対する姿勢は学ぶところばかり」と話すように、地道に努力を重ねてきた。

ただ、目標とする金メダルには届かず、人目をはばからず泣いた。「この大会の舞台に立てたことに感謝の気持ちでいっぱい。だからこそ、金メダルを取りたかったが、それがかなわなくて悔しい」と声を震わせたが、日々の鍛錬があったがゆえの銅メダル。空手界の歴史に新たな1ページを刻んだことに変わりはない。

© 株式会社東京スポーツ新聞社