犠牲者の辛苦に思いはせ 「平和の泉」で採水

平和祈念式典のため採水する子どもたち=長崎市、平和公園

 9日の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で献水を務める青少年代表3人が8日、長崎市松山町の平和公園にある「平和の泉」で採水し、犠牲者の辛苦に思いをはせた。
 原爆投下直後、熱線を浴びた人々が水を求めて市内をさまよった。市は1991年の式典から、市内5カ所で採った水をささげ慰霊している。
 今年の代表は田中智章君(11)=市立小島小6年=、高橋陽芽さん(15)=市立梅香崎中3年=、山﨑さくらさん(16)=市立長崎商業高3年=。泉の前で一礼した後、丁寧にひしゃくで水をすくい、木おけに入れた。
 田中君は「亡くなった方々が飲みたかった水を絶対に届けなければならないという思いでくんだ」、高橋さんは「亡くなった方の冥福を祈った。核兵器のない平和な世界になってほしい」と話した。
 被爆3世の山﨑さんは父や祖父から、祖母の被爆体験を聞いた。「犠牲者の気持ちを考え、平和への関心がより深まった。式典で感じたことを(周囲へ)伝えていきたい」と言葉に力を込めた。
 このほか市内4カ所で市職員が採水した。式典では青少年代表と被爆者代表、遺族代表の計5人が平和祈念像前に水を供える。

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