昨季の受賞者とは顔ぶれガラリ、広島・菊池涼は二塁選外 セ前半戦の“GG賞”は?

広島・菊池涼介(左)と中日・京田陽太【写真:荒川祐史】

守備指標「UZR」で選出する前半戦のゴールデングラブ賞

東京五輪による中断期間を終え、プロ野球は13日からシーズン後半戦が始まる。両リーグの優勝争いとともに、佳境になるにつれて気になるのは各賞の行方。守備の名手に贈られる「三井ゴールデン・グラブ賞」は今季、誰の手に渡るのか――。後半戦を占う上でも、前半戦での各ポジションの“受賞者”をデータから選出してみたい。今回はセ・リーグ編。

用いたのは、守備全般での貢献を示す「UZR(Ultimate Zone Rating)」。リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだかを表す。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA()のデータを参照した。規定に到達した選手(投手は80回以上に設定)で、各ポジション1位と数値は以下の通り。

投手:柳裕也(中日)2.1
捕手:大城卓三(巨人)3.3
一塁手:ジェフリー・マルテ(阪神)1.3
二塁手:阿部寿樹(中日)6.1
三塁手:岡本和真(巨人)5.7
遊撃手:京田陽太(中日)3.5
左翼手:青木宣親(ヤクルト)4.1
中堅手:近本光司(阪神)9.3
右翼手:鈴木誠也(広島)4.6

昨季の受賞者と比べると…ガラリと変わっている顔ぶれ

球団別にみると、中日が最多の3人。次いで巨人と阪神が2人ずつ、広島とヤクルトが1人ずつで、DeNAの選手は入らなかった。中でもセンターラインの要となる二遊間は中日勢に。遊撃の京田陽太内野手は前半戦でプロ初の2軍落ちも経験しながら、守備での貢献はやはり数値に表れた。一方の二塁では、昨季まで8年連続受賞している広島の菊池涼介内野手は「2.2」で選外に。データ上では阿部寿樹内野手が上回った。

三塁では岡本和真内野手がトップで、ヤクルトの村上宗隆内野手が「4.6」で次点に。昨季受賞した中日の高橋周平内野手はマイナス指標だった。中堅は、阪神の近本光司外野手が他選手とは大きく数値を離して断トツ。助っ人の大砲が並んだ一塁は、ジェフリー・マルテ内野手が1位となっている。

昨季の受賞者と同じなのは、両翼の青木宣親、鈴木誠也外野手のみ。シーズン60試合近くを残して変動することは大いにあるが、昨季とはガラリと受賞者が変わる可能性も。ペナントレースの行方とともに、名手たちのファインプレーからも目が離せない。

【2位以下は?】データで選出した“前半戦GG賞”各ポジションのベスト3

【2位以下は?】データで選出した“前半戦GG賞”各ポジションのベスト3 signature

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

© 株式会社Creative2