【バスケットボール】八村も…やればできる!銀女子の「オリジナル戦法」 男子代表がパリまでにやるべきこと

八村はパリで雪辱できるか

【KJ松井のCatch&Shoot(75)】 東京五輪でバスケットボール女子日本代表が銀メダル獲得の快挙を達成した。8日の決勝では世界ランキング1位の米国(日本は10位)の高さとパワーに屈したが、1次リーグから快進撃を見せた日本の奮闘に列島中が熱狂。本紙バスケット評論のBリーグ・富山グラウジーズ松井啓十郎(35)は女子の活躍に拍手を送る一方で、1次リーグ3連敗に終わった男子へ緊急提言を行った。

本当に素晴らしい戦いぶりでした。日本女子は初めての決勝の舞台で米国相手にチャンスがあるかもと思わせる場面もありましたし、2024年パリ五輪も楽しみですね。

やはり16年リオデジャネイロ五輪でベスト8入りしていますし、大舞台を経験している選手が多いのも強みになりました。それにフランス(世界ランキング5位)との1次リーグ初戦で勝てたのはすごく大きかったと思います。短期決戦の一発目で流れに乗れて自信もついたでしょう。そこから試合ごとに成長していったように感じました。

戦い方に関してもスピードとシュート力に特化して強化したのが奏功しました。大きい選手がなかなか出てこないからこそ、日本が世界で勝つには3ポイントと確実にペイント内で得点を積み上げる、この方法しかありません。トム・ホーバス監督が日本人の特長を理解した上で、日本独自のバスケをつくり上げました。たとえ世界1位の米国であっても、同じスタイルでやることはできないはずです。

女子の銀メダルは、男子選手の刺激になったのは間違いありませんし、世界で戦う上でのヒントをもらいました。男子にもシュート力のある選手はいますし、女子のように高さを補うために、スピードとシュート力で勝負することは可能です。そのためには、ポイントガードがキーになります。いい形でパスを回し、シューターに打たせることで成功率も上がりますから。

それにNBAでプレーする八村塁(ウィザーズ)と渡辺雄太(ラプターズ)といえども五輪初出場でしたので、チームとして国際大会の経験値を上げる必要もあります。今回は開催国枠で45年ぶりの五輪出場ですから仕方ありませんが、この経験を生かすために中国や成長著しいフィリピンなどアジアのライバルと競って今度は自力で五輪出場権を勝ち取ることが大事になります。

急なサイズアップを求められない中、日本男子は先ほど言ったように女子を参考にしていくのもありでしょうし、ほかのやり方もあるかもしれません。いずれにしても日本人の特長を生かしたオリジナルな戦い方を確立して男子も世界と渡り合ってくれたら、うれしいですね。

☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、イベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦したことがある。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、現在は富山グラウジーズに所属。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。

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