【夏の甲子園】広島新庄・宇多村監督が語った逆転サヨナラ負けの伏線「9回の攻め」

力投した広島新庄・花田侑樹

衝撃的な結末だった。第103回全国高校野球選手権大会(甲子園)第2日第2試合に登場した広島新庄(広島)は、横浜(神奈川)に2―3の逆転サヨナラ負け。2―0の9回二死から横浜の1年生遊撃手・緒方に殊勲の3ランを叩き込まれ、全国制覇の夢は一瞬にしてついえた。

終盤まではシナリオ通りの展開だった。先発のプロ注目右腕・花田(3年)が、緩急自在の投球で7回途中まで無失点。2番手左腕の西井(3年)も好リリーフでつなぎ、5回に河野(1年)の中前適時打で奪った得点を終盤まで守り抜いた。主将・大可(3年)の好守備、投手それぞれの持ち味を引き出した北田(3年)の好リードとバックも躍動。ペースは完全に握っていた。

悲劇的結末の伏線は確かにあった。「9回の攻め。もう1本、もう1点が取れていれば、投手が安心して投げられたのかもしれない」。宇多村監督はそう悔やんだ。1点リードの最終回の攻撃。先頭から3連打で貴重な追加点を奪った。なおも無死二、三塁。だが、後続が立て続けに力ない内野フライに倒れて好機を逸した。ピンチをしのいだ横浜ベンチは沸き、潮目が変わったことは明らかだった。

あとアウト3つが重たくなり、西井が先頭に安打を許すとクローザーの秋山(3年)にスイッチ。プロ注目左腕は、雰囲気に飲まれるように得意のチェンジアップが全く入らなかった。二死一、三塁までこぎつけたが、最後は真っすぐを狙い打たれた。宇多村監督は「一球の怖さを感じた試合」と改めて勝ち切る難しさを受け止め、この敗戦を糧にすることをナインに求めた。

歴史に刻まれる悲劇的一球は、必ず広島新庄の財産となるはずだ。

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