株式会社アオ(新潟県糸魚川市)の2021年3月期決算はコロナ禍でも増収を確保

「アオ」のマスク

アパレルブランド「アオ」を展開する株式会社アオ(新潟県糸魚川市)の2021年3月期決算は、コロナ禍において業界が苦戦する中、前期比で増収を確保した。

「アオ」ブランドの売り場は、昨年、東京都代官山の直営店や福岡県や大阪府の百貨店が緊急事態宣言下で休業していたが、昨年の3月初めから同社のガーゼを使用したマスクの製造を開始し、約15万枚を販売したことが売り上げをけん引した。「これで当社を知ってもらい、アパレルの既存品も動き、顧客名簿が数千件増えた」とアオの五十嵐昌樹代表取締役社長は話す。昨年7月には抗ウイルスのマスクを販売し、その後、抗ウイルスのハンカチやパジャマなども発売した。

また、五十嵐社長が専務を務める縫製の関連会社、美装いがらし(新潟県糸魚川市)では、医療機関で医師が着用する防御服を10万枚生産した。「国から発注があり、我々縫製工場は仕事があった」(五十嵐社長)。

同社は、「価格決定権がほしかった」(五十嵐社長)と、平成16年からアパレルのファクトリーブランド(工場発のブランド)「アオ」を立ち上げた。企画・開発・製造・販売の垂直統合の仕組みが強みで、独自素材の開発や信州大学(長野県)との連携による肌触りの数値化が特徴。現在、阪急百貨店の3店舗や新潟伊勢丹で販売するほか、ネット販売や国内約50店舗に卸している。

また、同社では、地域でオーガニックコットンを育てて、ベビー肌着を糸魚川で生まれた子供に届ける「アオコットンプロジェクト」を7年前からスタートし、糸魚川市内の小学校など30か所で綿花を栽培している。

同社のコットンプロジェクト

株式会社アオの五十嵐昌樹代表取締役

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