韓国紙「日本は外国人政策で多くの変化」「韓国は依然として慎重」

韓国紙が、日本と韓国の外国人政策を比較し、共に人口が減少するなか、日本が政策的には先行していると報じている。同時に韓国人の在韓外国人に向ける視線についても厳しい意見をみせている。

韓国のITチョソン紙は今週、「”ハーフオリンピック”日本、私たちが向かう道」というタイトル記事を掲載。記事を執筆したジョン・ジェヒョン記者は、8日に閉幕したオリンピックについて、開催を危ぶむ声があった一方で、「いざ蓋を開けてみると、オリンピックはやはりオリンピックだった」とし、「韓国だけでなく、様々な国の様々な選手たちが見せた人生ストーリーも関心を持って見た」と伝えた。

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ジョン記者は、なかでも開会式の聖火ランナーを務めた大阪なおみ選手や、旗手を務めた八村塁選手、アーロン・ウルフ選手を取り上げ、日本で人種やアイデンティティに対する態度が変化していることに少なくない印象を受けたようだ。

ジョン記者は、「もちろん日本国内で否定世論がないわけではない」とし、ネット掲示板などで「日本人らしくない」容貌が批判されることもあることに触れつつも、「しかし、いずれにせよ、日本は政策的に変化している」とチョン記者は指摘した。

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ジョン記者は、日本の人口が2007年から自然減少が始まり、超高齢社会へと向かっていることに触れ、それに伴う労働力不足を解決するため、日本が「外国人政策で多くの変化を推進している」と伝えた。そして、技能実習制度や高度専門職などの日本の在留資格を紹介し、家族にも在留資格が付与される「特定技能2号」などについても詳しく触れた。

ここでジョン記者は、韓国に目を向ける。韓国でも2020年から人口の自然減少が始まっており、韓国の合計特殊出生率(0.84人)は日本(1.34人)より低いことから、置かれている状況は日本より急を要すると暗に指摘。実際、そのような背景を反映してか、韓国の滞在外国人は2000年に50万人を超えて以降、年々増えており、2019年には252万に増えていることに言及した。

ジョン記者は、一方で、「韓国の外国人政策は依然として慎重だ」とし、「未来志向的に、より総合的かつ体系的にシステムを移行しようとする姿は見えない」と述べている。

ジョン記者は、韓国人の外国人に対する認識にも問題があると指摘する。行政研究院の調査によると、外国人を韓国国民に受け入れことについて、43%が同意すると回答(否定的回答は26.1%)したものの、「外国人」に対する信頼度は知人や隣人に比べて著しく低かったことを嘆いている。

「韓国で外国人は韓国人と同じ人間ではなく、一つの客体として認識される傾向が強い」というのがチョン記者の見方だ。「結婚移民者は少子化問題の代案として、外国人労働者は3D(3K)ビジネスに関連する人材対策の一環として眺めている」と批判の目を向ける。また、「キムチや辛い食べ物もよく食べ、焼酎の杯を傾けるなど、韓国文化に同化されることを望むもので、彼らの文化を維持したまま韓国に住むことはあまり好きではないようだ」とし、閉鎖的な性質を追求した。

ジョン記者は、ソウルオリンピックが次に開かれることがあれば、「《韓国を代表する顔》はどのような姿だろうか、2021年の東京オリンピックの日本の姿は、私たちが行くことになる道だろうか」と問うている。

韓国法務部によると、韓国に滞在する外国人数は2000年に50万人を超えて以降、毎年大きく伸びており、2019年には約252万5千人にまで増えた。しかし、翌年の2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、203万6千人まで減っている。出身地別(2019年)では中国が全体の44%と多く、ベトナムが10.4%、タイが8.9%で続く。外国籍から韓国籍への帰化者数は2016年から2019年の間で毎年1万人前後となっている。

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