韓国紙「東京五輪は親切な日本人が支えた」「炎のような気性の国ならストが...」

東京オリンピックが、様々なネガティブな状況にも関わらず開催できた背景に、良くも悪くも日本だったからという分析が韓国紙から出ている。

ソウル新聞は10日、東京オリンピックを取材したユ・ジェミン記者による「あまりにも無謀だったオリンピック、日本だから可能だったのか」というタイトル記事を掲載した。

参考記事:「韓国が先進国になるには一段高い品格が求められる」「援助額がケチ」韓国経済紙

ユ記者は東京オリンピックについて、「新型コロナウイルスの脅威の中でも、最後まで《完走》したという点から見れば成功であり、日本と国際オリンピック委員会(IOC)が目標だった《コロナ克服》、《復興五輪》という点から見れば、成功とは言い難い」と評価した一方で、「おそらく日本だからこそ、この無謀なオリンピックでも可能だったのではないか」と分析している。

ユ記者は、オリンピック開催後も菅首相の支持率が引き続き下落していることについて、「日本で反対世論が激しかったにも関わらず、これを無視した結果ではないか」とし、「日本政府は国民世論に鈍感で、政党は複数あるが、結局は自民党が動かす国だ。国民があのように反対するのに開催を強行することができた文化的背景ではないか」と指摘する一方で、そのようなマイウェイ精神だからこそ開催できたとの見方を示した。

続けて、米フォーブスが東京オリンピックにかかった費用を約32兆円と推定したことについて、「日本経済が破産しそうなレベルだが、オリンピックの現場にいながら、一方では日本経済だったので(開催する)余裕があったのではいう気もした」と指摘。

ユ記者は、「これほどのサイズの《赤字オリンピック》を強行することができる経済規模を持つ国は、いくつもない」とし、「経済力が劣る国だったら、オリンピックが1年先送りされた瞬間にあきらめたかもしれない」と伝えた。その上で、全世界の各取材陣に1万円のタクシークーポン券14枚が支給されたことなどにも触れた。(クーポンは現金のお釣りが出せないので、1万円を僅かに超える距離を巧妙に走るドライバーの話についても触れている)

ユ記者は、日本の負債比率がGDP比で258%と高く、オリンピックの費用が日本国民に今後大きくのしかかることや、菅首相が歴代最悪の首相になる可能性を心配しつつ、「オリンピックを最後まで開催できた背景(要素)として、日本人を欠くことができない」とし、「この劣悪なオリンピックは彼らが支えたと言っても過言ではない」と指摘した。

ユ記者は、「日本人特有の親切心から頑張るボランティアは、全世界から降り注ぐイライラに対しても怒る術がない」とし、「炎のような気性を持った国民国家で行われたなら、ストライキが起きただろう」と述べた。同時に、逸脱せず決められたとおりにしようとする日本人特有の文化もオリンピックを行う原動力になったと指摘した。

ユ記者が英語や翻訳機で会話した日本人ボランティアはみんな平凡な人達だったとし、日本という国に世界的注目が集まったが、「この平凡な市民たちは注目されなかったように感じ、少し残念な気になる」と述べている。

参考記事:BBC韓国「日本で我慢は美徳とされるが…精神疾患に繋がる」「満員電車でも沈黙」

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