コロナ禍の盆 感染拡大で精霊流しも自粛ムード

盆に墓参りをする親子が花火を選んでいた=長崎市、錦昌号

 新型コロナウイルス禍の中、巡ってくる2度目の盆。全国的な感染急拡大に伴い県内も、県境を越える往来や飲食店の営業時間、伝統行事「精霊流し」まで、自粛ムードに包まれている。精霊船は小型化し、手持ち花火が好まれるなど、家族だけで過ごす向きが目立つ。昨年以上に寂しい盆になりそうだ。
 12日午後、花火店「錦昌号」(長崎市新地町)で、3組の家族連れが花火を選んでいた。張仁春代表取締役は「コロナと大雨のダブルパンチで昨年より客足が鈍い。15日までに天候だけでも回復してくれれば」とため息をつく。売り上げは例年と比べ3~4割減。爆竹は精霊流しでの需要が落ち込み、代わりに、家族で使う手持ち花火が人気だ。
 母親の精霊船を出すため来店した同市小峰町の主婦(55)は「県外の親戚は呼ばず身内だけでやる。小さい船だけど華やかに送ってあげたい」と話した。
 精霊船を扱う「人形のたていわ」(同市賑町)によると、例年と比べ、5メートル以上の大型船は半減、少人数で運べる60~120センチの小型船や、供え物をわらで包む「こも」が1.5倍売れている。立岩栄治社長は「コロナで流れが変わってきている。収束後も、船を出すことに消極的になって伝統が途絶えてしまわないか心配。観光にも影響してくる」。
 帰省を取りやめる人も少なくない。九州商船は12、13両日、長崎発五島行きジェットフォイルを5往復に増便し予約でほぼ満席だったが、「感染拡大後にキャンセルが続いた」。12日は約100席が空いた便があった。JRの予約も低調。同日は荒天が重なって、特急かもめの一部が運休し、長崎駅の改札口周辺は閑散としていた。

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