停滞前線の影響で市内全域に大雨が継続し、災害発生の懸念があるとして、糸魚川市は13日午前6時30分、米田徹市長を本部長に大雨警戒本部を市役所内に設置。第1回会議を同9時30分に開き、部課長らが災害に備えた態勢を協議した。
同日午前0時14分に同市に大雨警報、土砂災害警戒が発表された。市は地滑り災害の危険性があるとして、同9時、来海沢地区の県道東側住民12世帯14人に避難指示を発令。西海地区公民館に避難所を開設、午後3時に8世帯10人(一時滞在者1世帯1人含む)の避難が完了した。5世帯5人は親戚宅へ避難した。
この他、自主避難所を糸魚川市民会館、能生体育館、青海生涯学習センター、筒石・徳合地区を対象に磯部地区公民館に開設した。各避難所は検温、消毒など新型コロナ感染症対策を講じ、避難の際の予防を呼び掛けている。市職員を配置し、帰省客らの避難にも対応する。
国道8号・親不知区間が連続雨量の規制値を超えたため、通行止めとなるなど交通機関にも影響が出た。同日午後5時現在、市警戒本部に被害情報は入っていない。
◇被災地住民諦め 墓参りや盆帰省
3月に発生した地滑り災害の応急対策が行われている来海沢地区からの避難住民は、公民館の非常食や各自持ち込みの昼食を取りながら雨の状況を心配した。夫婦で避難した73歳男性は「例年は(県外から)子や孫が来るけど、今年はコロナも災害もあって来られない。毎日連絡をくれ、今朝も心配して電話があった。家は大丈夫と答えたが、お盆は自宅で過ごしたかった」と諦めの表情を見せた。
神喰重信区長によると13日、地区内に帰省客6人がいたが、いずれも避難指示に伴い、仏壇参りのみ済ませて帰ったという。「お墓参りに行けない状況になり残念。自然相手で仕方ないが、雨のたびの避難で住民のストレスになってきている」と話した。