MotoGP第11戦オーストリアGP:ザルコがレコード更新のトップタイムをマーク。中上貴晶は初日総合4番手

 MotoGP第11戦オーストリアGPのフリー走行1回目、2回目がレッドブル・リンクで行われ、MotoGPクラスはヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)が初日を総合トップで終えた。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は総合4番手だった。
 
 オーストリアGPの木曜日はマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)の欠場が大きな話題となった。前戦スティリアGPの決勝レースでビニャーレスが行ったバイクの操作によるもので、エンジンに重大なダメージを与え、他のライダーやビニャーレス自身を危険にさらす可能性があったとして、ヤマハがビニャーレスの出場を停止するとして発表した形だ。
 
 また、ヤマハのテストライダーを務めるカル・クラッチローがフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)の代役として参戦。また、スティリアGPの決勝レースで転倒したダニ・ペドロサ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)のマシンに突っ込み、クラッシュを喫したロレンツォ・サバドーリ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)は右足くるぶしを骨折して、今大会を欠場している。サバドーリは9日に手術し、第12戦イギリスGPの復帰を目指す。

 フリー走行1回目は気温25度、路面温度27度のドライコンディションで行われた。このセッションでは序盤に中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)がトップタイムを記録。同じくホンダマシンを駆るマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が2番手につける。その後、ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が2番手に浮上した。
 
 中上はセッション終盤までトップを守っていたが、残り5分を切ってヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)やジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)、アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)がタイムを更新。ザルコは1分22秒827というこれまでのオールタイム・ラップ・レコードを更新するタイムでトップに立った。なお、これまでのオールタイム・ラップ・レコードは前戦スティリアGPの予選Q2でホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)が記録した1分22秒994である。
 
 ザルコはそのままトップでこのセッションを制し、2番手がミル。3番手はリンス、中上は4番手で、5番手はアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)だった。
 
 マルク・マルケスは9番手、前戦ウイナーのホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)は10番手、バレンティーノ・ロッシ(ペトロナス・ヤマハSRT)は14番手、カル・クラッチロー(ペトロナス・ヤマハSRT)は20番手でセッションを終えている。
 

■【FP2】ウエットから始まったセッションは終盤にドライに

 Moto3クラスのセッション終盤には雨が降り始め、路面はウエットに。MotoGPクラスのフリー走行2回目はウエットコンディションで、気温21度、路面温度26度という午前中からあまり上昇しないまま始まった。
 
 セッションが進むと空には青空がのぞき、コース上には少しずつ乾いた部分が見え始めた。セッション中盤、マルク・マルケスがトップに浮上する。さらに残り時間15分を切ると、チームメイトのポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)が2番手につけた。このころには陽が射しており、路面はドライに向かい、ドライとウエットが混じるダンプコンディションとなる。
 
 残り時間が5分になると、路面状況はさらに回復。イケル・レクオーナ(テック3・KTM・ファクトリーレーシング)がスリックタイヤを履いて走行する。レクオーナはスリックタイヤでトップタイムをマークした。また、ジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)もスリックタイヤでコースイン。ただ、残り時間はわずかで、多くのライダーがレインタイヤのまま走行を続けていた。
 
 レクオーナは最終的に1分27秒520を記録して、トップでフリー走行2回目を終えた。2番手はザルコ。ザルコのタイムはレインタイヤで1分30秒917で、レクオーナとは3秒以上の差があり、終盤の路面はスリックタイヤに適した状況だったようだ。3番手はアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)、4番手はマルク・マルケス、5番手はミラーだった。
 
 こうした状況により、フリー走行1回目の結果が初日の総合結果となった。ザルコが初日総合トップで終えている。

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