横浜・戸塚で横田めぐみさん写真展 早紀江さん「希望だけは捨てない」

横田めぐみさんの写真展会場で、早期帰国実現を願う母早紀江さん=横浜市戸塚区(代表撮影)

 北朝鮮の拉致被害者、横田めぐみさん=失踪当時(13)=と家族の写真展が13日、横浜市戸塚区の戸塚区民文化センターさくらプラザで始まった。中学1年だっためぐみさんが拉致されてから11月で44年。会場を訪れた母早紀江さん(85)=川崎市=は「写真を見ると当時の香りも思い出せる。40年以上も放っておかれていることは許せない」と悲痛な表情で訴えた。

 報道陣の取材に答えた早紀江さんは、昨年6月に87歳で亡くなった父滋さんについて「家族思いの人だった。写真ごとのストーリーがよみがえってくる」と回顧。めぐみさんに関しては「いつもお祈りしている。希望だけは捨てない」と明かし、「健康でいてほしい。私も病気しないように頑張っているので、めぐみちゃんも写真のように元気でいてほしい」と呼び掛けた。

 写真展は、早紀江さんと同じマンションに住む支援団体「あさがおの会」の主催。滋さんが撮影した幼い頃の様子をはじめ、めぐみさん自筆のイラストや小学6年生の時に「元朝(がんちょう)の志」と記した書き初めなど約170点を展示した。

 会場では、中学の同級生でバイオリニスト吉田直矢さん(57)が、早紀江さんが作詞した「コスモスのように」など6曲を披露した。近くに住む女性会社員(51)は「家族がばらばらになるなんて悲しいし、許せない。解決できないことが不思議。早紀江さんとめぐみさんが会えるよう政府は働き掛けてほしい」と涙をぬぐった。

 展示会は新型コロナ感染拡大の影響で昨年から延期し、首都圏での大規模展示は5年ぶり。この日は黒岩祐治知事や福田紀彦川崎市長らも訪れた。入場無料で19日まで。午前11時~午後6時。コンサートは15日も開く。

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