ソロキャンプ用タープと侮るなかれ! 使い道いろいろテンマクデザイン「ムササビウイング」をレビュー

こんにちは。夏場のキャンプはソロキャンプでもタープ愛用派のくにぱぐです。今回はtent-Mark DESIGNS(テンマクデザイン)のソロ用タープ「ムササビウィング」を紹介します。1~2人での使用に最適なサイズで、焚き火との相性がよい小型タープ。工夫次第で使い方の幅がかなり拡がる、キャンパー心をくすぐるアイテムですよ!

ソロ用タープ「ムササビウィング」の基本情報

※出典:テンマクデザイン画像参照:https://www.tent-mark.com/musasabi-wing/takibi_ver.php

ムササビウィングはアウトドアショップ「WILD-1」と母体を同じくするブランド「テンマクデザイン」から発売されている小型タープです。

絶版とアップデートを繰り返しながら、現在は「TC“焚き火”バージョン」「コットン”焚き火バージョン」という2つと、サイズも一回り大きい「グランデVC焚き火バージョン」の、計3種類が発売されています。

元々は堀田貴之氏という遊行人が手がけた「TULSATIME」というプライベートブランドからごく少数発売されていたタープなのですが、テンマクデザインから復刻されて後に人気に火がつき、いまではテンマクデザインの看板アイテムのひとつになっています。

なお、現在のムササビウイングにもこの「TULSATIME」のタグが貼られています。

※出典:テンマクデザイン画像参照:https://www.tent-mark.com/musasabi-wing/takibi_ver.php

「ムササビウイング」の名称は、このタープを拡げた姿が変形の五角形で、あたかもムササビが空を舞っているような姿をしているところから名づけられています。

この形状は、ポール一本、あるいは枝一本あれば張れてしまうという利便性に基づいたもので、ポール一本でなら、設営や撤収もあっという間にできます。

サイズは「グランデVC焚き火バージョン」を除けば1~2名のキャンプにぴったりで、「夜露をしのぐ」という目的でサッと張るという、野営的な趣での使い方に最適です。

とはいえ、使い方でだいぶその幅が拡がるのが「ムササビウイング」の良いところ。
上手く使えばファミリーキャンプにも問題なく使うことができますし、かなり豪華なソロキャンプを楽しむにも便利なギアです。

今回は長年ムササビウイングを愛用している著者が気づいた点などを踏まえ、使い方を幅広く紹介してみたいと思います。

「ムササビウイング」の魅力4点徹底レビュー!

「ムササビウイング」の魅力を4つ、紹介していきましょう。

筆者撮影

魅力1:コットン素材を活用しており、焚き火に適している!

「ムササビウイング」はいずれもコットンを混ぜた布地を使用しています。

それぞれ割合が異なっており、「TC」はコットン素材とポリエステルを混ぜたTC素材。「VC」はよりコットンの割合が高く、「コットン」はその名の通り、コットン100%のタープです。

いずれもコットンを使った布地は火の粉に強いため、タープ近くでの焚き火に適しているとされ、このため「ムササビウイング」の各商品名には「焚き火」が冠されているのです。

実際のところ、コットン素材は難燃素材ではありますが、まったく燃えないということはなく、火の粉がつけば穴が開くことはあります。

なので、もし火の粉がついたら、すぐに内側から叩いて火の粉を落としてやる方がよいのですが、それでもポリエステル素材のタープよりは遥かに焚き火に適しています。

なお、TC、VC、コットンによる燃えにくさには大きな差はないと思います。

※ 厳密にはTCやVCよりもコットンにより優位性があると思いますが、「火の粉に対して穴が開くリスクがある」という意味ではどれも同じです。「コットンだから火の粉がついてもTCよりは慌てなくてよい」といったことはありません。

魅力2:霜や雨、強い日差しなどの気象条件に強い!

※出典:テンマクデザイン画像参照:https://www.tent-mark.com/

コットン系素材が強いのは火の粉に対してだけではありません。特にありがたみを感じるのは「露がつきにくい」ということです。

ポリエステル系素材のタープは内側に露がつきやすく、場合によってはそれが垂れてきたり…ということもありますが、ムササビウイングの場合、水分はコットンに吸収されるので、露の懸念はかなり低くなります。

もちろん、水分を含んだムササビウイングは翌朝、しっかりと乾燥をさせてやる必要があります。

テントやタープなどは、乾燥させる時間を計算に入れて片づける順番を考慮しなくてはならないケースが多く、そうした手順を気にしなくてよいのはストレス軽減になります。

また、冬場は霜もつきにくいですし、雨も漏れることなくしっかりと弾きます。

さらにコットン素材は影が濃いので、日差しの強い日にも適しています。この影の濃さは、VC素材やコットン100%のもののほうが、TC素材より良いようです。

魅力3:好きなポールが使えるので、広さの調整が自由自在

筆者撮影

「ムササビウイング」にはポールがついてきません。一見これは不便なようですが、逆に言うと、好きなポールが使える良さがあります。

筆者撮影

場合によっては木の枝などを使ってワイルドにタープを固定することもできます。

おすすめなのは、ある程度太さがあり、最長で280cmまで延びるポールです。探すとかなり安いものでもしっかりしたポールが見つかります。

ポールは1本でも2本でも使えます。1本だけだと手軽ですし、張るのも簡単です。

ちなみに1本だけ280m程度まで延ばすと、グンと高さが際立ち、とても見栄えがします。

2本使う場合は、60m~120cmぐらいの低いポールをお尻側に挿して高低差を出します。こうすることでタープの中がフルに広く使えます。

体感として1本だけ使用するのに比較し、2本の方が倍近く広く感じます。ポール2本ならば、コットを入れてのタープ泊もできるようになります。

なお、頂点となる一番背の高いポールからはロープを2本、V字になるように張るとより安定感が出ます。

とはいえ、1本でもピンと張りさえすれば、特に倒壊するようなことはありません。風が強い時だけ2本にするなど、上手く使い分けると良いでしょう。

魅力4:テントとの連結も可能! 家族用にも使える!

筆者撮影

「ムササビウイング」はさほど大きさのないタープですが、うまく使えば家族でのキャンプにも使えます。

特にワンポールテントの場合、テント側のポールにムササビウイングの後端のロープを括りつけることで、かなり広めの前室的空間を作ることができます。

括りつける場合はこうしたフックを使用すると便利です。このフックのベルト部分をポールに巻きつけ、フックとロープを結び付ければOKです。

連結方法はこれだけではないのですが、いろいろな方法を試してみると面白いでしょう。

ただ、ここまで後端を高く上げる場合、ムササビウイングに付属のロープでは長さが足りない場合があります。そうした場合は、後ろの斜めになる2本のロープを、別の長いものに取り換えておくとよいでしょう。

「ムササビウイング」がオススメな方

筆者撮影

ソロ用タープ「ムササビウイング」はこんな人にオススメです。

タープ泊や小型テント+タープを楽しみたい方

「ムササビウイング」は他のタープに比較して設営が簡単なので、ソロキャンプでもキャンパーの負担を増やさないタープだと言えます。

特に、タープの下にコットだけ入れて寝てしまうタープ泊は、本当に設営も撤収も簡単でおすすめです(季節はかなり限定されますが)。

また、画像のようにムササビウイングの後端に小型テントを設営するのも手軽。しかもこの設営は、ある程度しっかりとした装備をタープ下に広げられるので、かなりゴージャスなソロキャンプが楽しめます。

私は料理が好きなので、このスタイルがとても気に入っています。もちろん、ポールの代わりに落ちている木の枝で設営するのも面白いでしょう。

こうしたソロキャンプのバリエーションを楽しみたい人に、ムササビウイングはとても適しています。

多少の悪天候でもソロキャンプを楽しみたい方

「ムササビウイング」の良さは、悪天候にもタフに対応ができる点ではないかと私は思っています。雨中でも設営や撤収は早くできますし、ひとたび設営してしまえば、多少の雨でも気にせず一人の世界を満喫できるからです。

露や雨にも強いのは上記の通りですし、高く頂点を上げた状態なら、雨中でも焚火が可能です。

また、雨の中に大きなテントを持っていくと、撤収や、撤収後の乾燥などが大変なことになりますが、ムササビウイングと小型テントの組み合わせだと、それぞれ45リットルのゴミ袋に丸めて入れるだけでOK。撤収は早いですし、帰ってきてからマンションのベランダでも乾燥させることができるのです。

ですので、悪天候と分かっていてもソロキャンプに出撃する、という時、ムササビウイングがあるととても心強いです。(※ 気象情報を事前に確認の上、無理のない状況でご判断ください)

「ムササビウイング」をオススメしない方

ソロ用タープ「ムササビウイング」は、こんな人にはオススメできません。

ファミリーキャンプ専門の方

これは言うまでもない話ですね。

「ムササビウイング」は家族でも使えるとはいえ、基本的には小型のソロ用タープです。ファミリーキャンプ専門の方があえて選択をする理由はありません。

コットン系素材である点は魅力とはいえ、他にもそうした素材のタープで大きなものもあります。どうしてもこのデザインがいい場合、大きめのVCシリーズを選ぶとよいと思います。

ソロでもある程度大型のテントを使いたい方

私も冬場はサーカスコットンやガレージテントでぬくぬくと籠るキャンプが好きで、冬場は正直なところ、ほとんど「ムササビウイング」の出番はありません。

同様に、大きなテントに籠るのが好き、しかも季節関係なく籠る、という方は、そもそもタープの出番がないでしょうから、「ムササビウイング」をオススメする理由がない感じです。

「ムササビウイング」の評判・口コミ

「ムササビウイング」は使い方自由のタープ。SNSの口コミを見ていると、いろいろな使い方を試されている方がいますね。

「ムササビウイング」はとにかくカッコよく張ろう!

※出典:テンマクデザイン画像参照:https://www.tent-mark.com/

私は結構不器用な方なのですが、「ムササビウイング」はそんな私でも「カッコよく張りたい!」と思わせる形状をしています。

ピンと布を伸ばし、シワやたるみを付けないことが何よりも大切。その上で頂点のポールをうんと高く伸ばしてやると、とてもカッコよく張れます。

ただ、頂点を高くすれば高くするほど「タープ下」の部分はどんどん狭くなっていきますし、特に日差しを避けるという意味ではタープの効果が著しく下がることになります。その点は気を付けるべきなのですが、実際はカッコよさを優先したくなるタープなのです。

画像参照:https://www.tent-mark.com/support/manual/pdf/musasabi-wing.pdf

ちなみに「ムササビウイング」の設営方法は、コツさえ掴めば簡単です。先に「ムササビウイング」を完全に地面に拡げ、5か所のロープに対して自在金具を最大まで緩め、ロープにもある程度余裕を持たせてペグダウンを5か所全部してしまいます。

その上で2本ないし1本のポールを差し入れて、順番に立てていきます(2本の場合は短い後端側を先に立てると楽)。立てながら自在金具を少しずつきつくしていき、テンションをかけていくのです。
これで完成です。

この時、タープ左右のペグ位置はどちらもなるべく均等な距離に打ち込んでおくと、バランスよく綺麗に張ることができます。

また、無風状態であれば、後端と頂点の2箇所だけをペグダウンし、2箇所だけでとりあえず立ててから残りのロープを固定する方法もあります。最終的にバランスの良いキレイな張り方をしたい場合、この方法だとやりやすいですね。

こうした張り方自体は他のタープと変わりませんので、タープを上手に張りたい人は、まずは小型の「ムササビウイング」で練習を重ねるのも良いと思います。

コットン系素材で長く愛用できるタープである「ムササビウイング」。購入したらいい相棒にしたいものですね。

他メーカーのタープはこちらの記事を参考に

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