【アニソン四半世紀】SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle&Gemie「gravityWall」凡庸なアルバム1枚聴くより満腹感あり

「gravityWall」CDジャケット

2017年放送の「Re:CREATORS」は、前回取り上げた「BLACK LAGOON」の原作者・広江礼威が原作とキャラクター原案を手掛けたアニメ。ただし今作は漫画が原作ではなく、アニメオリジナル作品だった。

この「Re:CREATORS」で第1クールのオープニング曲として使用されていたのが、「gravityWall」。アニメの劇伴を担当した澤野弘之(「進撃の巨人」や「機動戦士ガンダムUC」などの劇伴でもおなじみ)によるユニット、SawanoHiroyuki[nZk]が、ボーカルにTielleとGemieという2人の女性を起用した楽曲だ。

演奏は典型的な“澤野サウンド”で、デジタルな質感のダイナミックなグルーブに乗せて、日本語と英語が半々ぐらいの歌詞がツインボーカルで歌われる。

見事なのは、その構成だ。十分にキャッチーなサビが終わった後に、さらに全く別の開放的で高揚感あふれるメロディーが登場する。1分30秒程度のテレビサイズでもそれは聴けるが、フルサイズでは引っ張りに引っ張った末にそのメロディーが“トドメの一撃”のように繰り出される。

重層的なアレンジも含めて、いったい何曲分のアイデアがこの曲に投入されているのだろうか? 個別に使えば他の曲がいくつも作れるところを、惜しげもなくたった1曲に詰め込むというぜいたくさ。凡庸なアルバム1枚を聴くより、はるかに満腹にしてくれる濃密な曲だ。

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