上越は今〈2〉〝決戦〟へ動き加速 12年ぶり新市長誕生へ 売り込み、支持拡大へ懸命

 令和3年は、上越市にとって「選挙イヤー」といえる1年だ。10月24日告示、31日投開票の上越市長選と同市議会議員補選、同21日で任期満了となる衆議院議員の次期選挙が迫る中、各選挙に向けた動きが加速。市長選では3期目の現職、村山秀幸氏(72)が今期限りでの退任を表明しており、12年ぶりに新市長が誕生する。

 市長選には前同市副市長の野澤朗氏(64)、元市議の中川幹太氏(46)、佐渡市の行政書士、後藤浩昌氏(60)が出馬を表明。野澤氏と中川氏の動きが活発で、昨年の市議選でトップ当選した元市長の宮越馨氏(79)の動向も注目される。

野澤氏陣営

 野澤氏は5月21日、市長選に向けて副市長を辞職。同25日には自らを代表とする「上越の未来創造実践研究所」を発足し、翌日、県選挙管理委員会に政治団体として届け出た。

 6月23日には野澤氏を応援する市議による「支援議員団」の設立総会が開かれ、団長を務める飯塚義隆議長が「信頼される市政を運営できるのは誰か。その思いは皆さんと一緒。議員個人個人から応援を頂き、議員団として心一つに進んでいこう」とあいさつした。

 7月21日には、同市新光町1に構える自身の政治団体事務所で、後援会の事務所開きを行った。後援会長の内山米六前市議は「知名度抜群の強敵との戦い。間違いなく至難な戦いになるが、負けられない」と協力を求め、野澤氏は「私が今まで大事にしてきた、市民の皆さんの声をお聞きするという原点をもう一度思い出す。『対話』と『納得』を大切にしていく。それが新しい上越市だと確信している」と決意を述べた。

 約80人が集まった事務所開きには、現職の村山氏も出席。「市民との対話を続け、将来に望みのあるまちづくりに向かって、これからは市長という職で活躍してほしい」とあいさつするなど、野澤氏を支持する姿勢を示している。

事務所開きで決意を述べる野澤氏(7月21日)

中川氏陣営

 中川氏は前回の市長選に出馬し、3選を目指した村山氏に1462票差という僅差で敗れ、涙をのんだ。そこから今回の市長選に向けてすぐにかじを切り、昨年7月には正式に出馬を表明。会見に同席した後援会長の秋山三枝子県議は「若い力で上越を変えることを期待してほしい」と呼び掛けた。

 今年4月18日には同市西本町1で後援会・選対本部の事務所開きを行い、2度目の挑戦に向けて士気を高めた。中川氏は豪雪や新型コロナウイルス対応への考えを示すとともに、全国の若い市長の動きを上げながら「迅速な対応は若さが一番の売り。素早く、分かりやすく」と強調した。

 7月25日には同市土橋の市民プラザで拡大選対役員会を開き、今後の活動について確認した。

 中川氏は集まった約50人の支持者に対し、「意欲、能力のある仲間がどんどん増えていると感じている。世の中を変えていくために必要なのは、情熱があるかどうか。この後援会には、すごく熱いものがあると感じている」と感謝。秋山後援会長は「ようやく対抗馬の顔も見えた。ここからが大切。ぜひきょうは心合わせをさせていただき、夏、秋に向けて共に歩んでいきたい」と呼び掛け、結束を高めた。

選対役員会終了後、支持者とグータッチを交わす中川氏(7月25日)

新型コロナで投票率行方は

 前回の市長選の投票率は、前々回の12年前(8年前は無投票)より0・75ポイント低下し64・34%だった。今回の市長選は、昨春の市議選と同様にコロナ禍での戦い。昨春の市議選は陣営側も選挙管理委員会側も対応に追われ、投票率が過去最低を更新。異例な状況での選挙戦の難しさがうかがえた。感染防止の観点からさまざまな制限が余儀なくされる中で、有権者の関心の喚起は、より大きな課題となりそうだ。

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