【関屋記念】夏のマイル王に王手!ロータスランド 重賞初V辻野師が受け継ぐ〝角居イズム〟

インをすくって押し切ったロータスランド(右)

15日、新潟競馬場で行われたサマーマイルシリーズ(9・12京成杯AHまで計4戦)の第3戦・GⅢ関屋記念(芝外1600メートル)は、4番人気ロータスランド(牝4・辻野)が先行押し切りで優勝。馬自身も、管理する辻野泰之調教師も、初の重賞タイトルを獲得した。これでサマーマイルシリーズ2勝目を挙げ、同シリーズ王者の座に限りなく近付いた同馬の今後の可能性は?

牝馬が上位人気を独占した真夏の越後マイル重賞。ただし、制したのは1番人気ソングラインではなく、シャドウディーヴァ、アンドラステでもなく、“第4の女”ロータスランドだった。

他の人気どころが外から脚を伸ばそうとした最後の直線。多くのファンの視線が外に向いたその瞬間、逃げたマイスタイルと内ラチの狭い隙間からロータスランドがジワジワと抜け出してきた。「1頭になるとフワフワすると(厩舎サイドから)聞いていたので、ラチ沿いの方が真っすぐ走れると思って。それにずっとインを走ってきて外に出すのはロスもあるからね」。そうコース取りの意図を説明した田辺。

距離ロスを限りなく小さくし、同時に気を抜かさずに最後まで真っすぐに走らせる。

「(過去のレースの)VTRを見て馬の特徴を理解し、うまく力を引き出してくれた」(辻野調教師)と陣営も評価した見事な手綱さばきだった。

そんな鞍上のリードに応えたロータスランド自身をどう評価すべきか。このレースは良馬場まで回復したものの、前日まで激しい降雨があって新潟特有のパンパン馬場ではなかった。「水分を含んだ馬場もプラスだった」と鞍上が振り返ったように、1分31秒台も出る例年に比べるとソフトな馬場も味方したのは確かだ。

とはいえ、ここまでのキャリアで崩れたのは阪神JF12着と中京記念5着のみ。「デビュー前からすごく能力は高いと聞いていた」と辻野師が言うように“搭載エンジン”が高質なのは間違いない。「爪の不安があったが、装蹄師さんと相談しつつやってきていい方に向かってきた。今は爪の不安もないから馬が気にせずに力を出せている」。前記のように高速馬場への対応や気性の成長など今後の課題は少なくないが、不安が解消して秘める能力をフルに発揮できるようになったとなればさらなる飛躍も期待していいだろう(次走は未定)。

これが重賞初制覇となった辻野調教師は「角居さん(元調教師)にいい報告ができます」。辻野師は今年2月に解散した角居厩舎で調教助手を務め、多くの名馬に携わってきた。そして、不安点をケアされ大事に育てられて、本格化の時を迎えつつあるロータスランド。“角居イズム”を引き継いだ人馬がどういう結果を残していくか? 注目に値する。

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