解決策はあるのか?「家族が来日できない」を理由に退団する外国人選手

西武を退団したメヒア

【広瀬真徳 球界こぼれ話】東京五輪による約1か月間の中断期間を終え、プロ野球が再開された。新型コロナウイルスの猛威により残りのシーズンが完遂できるのか。先行きが見通せない戦いには一抹の不安が募るが、それ以外にも気になる問題はある。このところ外国人選手が「家族が来日できないこと」を理由に相次いで退団していることである。

すでに五輪期間中にメヒア(西武)、ロメロ(オリックス)、レイ(ソフトバンク)が家族との生活を優先するため自主的に退団。シーズン後半戦を待たずに日本を後にした。こうした助っ人の悲報を聞くたびに何とも言えない複雑な思いに駆られてしまう。コロナ禍における外国人の入国制限。賛否両論があることは承知のうえで改善の余地はないのだろうか。

確かに緊急事態宣言下でも新型コロナウイルスの陽性者数が一向に減少しない現状を鑑みれば、空港検疫を含めた水際対策を徹底するのは当然だろう。若い世代のワクチン接種が進まず医療ひっ迫が現実味を帯びる今、「どんな事情であれ外国からの入国は認めるべきではない」と主張する人が一定数存在するのも理解している。

だが、プロ野球選手の家族は観光客や不要不急の目的で来日する外国人ではない。選手をサポートする観点から見ればむしろ必要不可欠な存在と言える。これは野球選手だけでなく他のスポーツ競技でも同じ。家族は選手の一部分とも言えよう。であれば入国時に定められた検査を受け、入国後の隔離期間など法令順守を徹底するのであれば来日を希望する選手家族には在留ビザの発給や入国を許可してもいいのではないか。

それでも「信用できない」と言うのであれば入国した選手家族の違反が発覚した場合の罰則規定を設ければいい。

日本の水際対策がスマホアプリや自己申告、個人の倫理観に委ねられていることが問題と言われて久しい。強制力のある罰則があれば外国人の順法精神も高まるはず。日本でプレーする選手の家族であればなおさらだろう。

外国人をひとくくりに拒絶するだけではスポーツ界だけでなく、経済や文化交流にも悪影響が及ぶ。今回の相次ぐ助っ人の退団劇はその一端をのぞかせる気がしてならない。

西武のメヒアなどは電車通勤でも知られるように、日本人以上に行動規範を守る人間性の持ち主だった。そんな外国人選手が失意のまま日本を次々に去る現実。黙って見過ごすのはあまりにも寂し過ぎる。

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