グリッケンハウス、テストデーで最速記録も「まだ改善すべき点がある」/WEC第4戦ル・マン

 グリッケンハウス・レーシング(スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス)のチームマネージャーは、オリビエ・プラがル・マン24時間レースの公式プレイベント“テストデー”のファステストタイムを記録した後、レースに向けて、チームは「まだ改善すべき点がある」と語った。

 プラは日曜日の夜に行われた同テストのセッション2で、ライバルのトヨタやアルピーヌを上回る3分29秒115というタイムをマークし、708号車グリッケンハウス007 LMHをリーダーボードのトップに押し上げた。

 2回のテストセッションを終えた後、グリッケンハウスのチームマネージャーであるルカ・チャンセッティは、ポディウム・アドバンスド・テクノロジーズとヨースト・レーシングのサポートが、チームのファステストタイム記録を後押ししたと述べたが、8月21~22日に行われるレースに向け、より一層の努力が必要であることも認めている。

「このクルマでル・マンに来るのは初めてなので、すべてのパフォーマンスを見極めようとしている」とチャンセッティはSportscar365に語った。

「我々は何も隠すことなく、できる限り最善を尽くそうとしている。良いセッションだった。マシンにはまだ改善すべき点がいくつかあり、小さな問題も複数ある」

「私たちはできるだけ多くの周回を重ねたわけではないが、これはまだ作業を続けていることの証だ。いずれにしても我々はハッピーだ。私たちは遠くないところにいると言えるだろう」

 チャンセッティは、グリッケンハウスが2台のマシンでプログラムを分けてテストデーに臨んだことを説明した。
 
 プラ、ピポ・デラーニ、フランク・マイルー、さらにグスタボ・メネゼスがドライブした708号車は、延べ9時間の走行時間中に合計70周を走破。また、ロマン・デュマとリチャード・ウエストブルック、ライアン・ブリスコーの709号車は約8.5マイルのコースを69周した。

 708号車がテストの総合トップタイムを記録した一方、709号車は姉妹車に対して2秒近く遅れ、総合5番手となった。その理由をチャンセッティは次のように述べている。

「データを調べて、クルマがの挙動を確認する必要がある」

「私たちは2台のクルマでふたつのまったく異なる作業をし、それぞれのテーマに取り組んだ。1台はセットアップに重点を置き、もう1台はコントロールの設定に取り組んでいたんだ」

「これが2台のマシンの間にパフォーマンスの差が生まれた理由だ。(総合的には)とても良いテストデーだったと言えるだろう」

■チームはブレーキの寿命について楽観的な構え

 信頼性の観点から、チャンセッティは、グリッケンハウスが激しいブレーキの摩耗に苦しめられた前戦モンツァと比べ、ル・マンでは「はるかに良い位置」にあることを示唆している。

 WEC世界耐久選手権第3戦モンツァでは、7号車トヨタGR010ハイブリッドがトラブルに見舞われた際に709号車がトップに立ったが、その直後にブレーキ交換のためにピットインしたため、当時ドライブしていたデュマは数コーナーしかフィールドのリーダーを楽しむことができなかった。

 モンツァのレースでは僚友708号車のシフトに影響を与える電気系トラブルも発生し、グリッケンハウスの2台に対して信頼性への疑問が投げかけられた。

「このコースはブレーキに対する攻撃性が(モンツァに比べて)低いので、はるかに良い状態にある」と語ったチャンセッティ。

「また、我々はそれらをより良くセッティングにも成功している。テストデーのデータを詳しく調べる必要があると思うが、現時点ではそれほど悪くない」

「モンツァでの709号車は問題がひとつあっただけで、週末にかけて問題が山積みだったわけではない」

「信頼性の部分についてはクルマが若く、それほど多くのテストをしたわけではないが、それが高いクルマであると考えている。幸いなことに、このテストとレースウイークの間に決勝に向けてパッケージをセットアップするチャンスが増えた」

「だから今日はいい仕事ができたと思う。24時間レースのスタート時には我々のクルマが最高の状態に仕上がっていることを願っている」

ル・マン24時間レースのテストデーで最速タイムをマークした708号車グリッケンハウス007 LMH

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