雲仙 不明女性の死亡確認 22年ぶり災害救助法適用 長崎市で3棟全壊

全長約70メートルにわたって路肩が崩壊した国道。土砂が流れ込み家屋が倒壊した=長崎市赤首町(県提供)

 大雨による土砂崩れで民家2棟が押し流された長崎県雲仙市小浜町雲仙の捜索現場で17日、1人が発見され、死亡が確認された。長崎市赤首町の国道202号では路肩下の斜面が長さ約70メートルにわたって崩壊した。約50メートル下まで落下した土砂はさらに流れて約170メートル離れた平屋の民家と倉庫、隣接の空き家の計3棟が全壊した。
 雲仙市小浜町雲仙の土砂崩れ現場では、計約200人態勢で安否不明の父娘を捜索。小規模な崩落や強い雨に遮られ午前中は作業ができなかったが、午後4時ごろ1人を発見し、現場で死亡が確認された。
 関係者によると、遺体は長女(32)。長女の軽乗用車付近の土砂から見つかった。18日も引き続き父親(67)を捜索する。
 一方、雲仙温泉街で見つかった山の亀裂(20~30センチの段差)について、市は17日、国、県と対応を協議。早ければ18日にも国が周辺に監視機器を設置し、危険性を調べる。市は「調査にはおおむね2日程度は必要」としている。
 同温泉街の八万地獄で13日夕、土砂崩れが起き、周辺住民やホテル関係者ら約50人が避難。亀裂は、八万地獄の現場から約210メートル離れた水道施設で発見された。また、県は雲仙市に災害救助法の適用を決めた。県内での適用は22年ぶり。
 県は西海市西彼町上岳郷の用水路で見つかった近くの無職、女性(73)と民生委員の女性(70)を災害による死者と認定。「警察の捜査状況などを踏まえ総合的に判断した」としている。
 17日も強い雨に見舞われた。各地の1時間降水量は平戸66ミリ、長崎市脇岬63ミリ、雲仙岳57.5ミリなど非常に激しい雨を観測した。
 斜面が長さ約70メートルにわたって崩壊し3棟が全壊した長崎市赤首町。県長崎振興局などによると、平屋に1人で暮らす70代女性は避難していて無事だった。県は同市三重町-神浦向町間に迂回(うかい)路を設け、西海、長崎両市を結ぶ路線バスは折り返し運転となった。
 佐世保市の県営若竹台団地(同市若竹台町)に隣接する市道の擁壁にずれが生じ、その後倒壊したことを受け、同市は周辺を警戒区域に設定。当面の間、立ち入りを制限する。区域内の1世帯4人は避難した。
 長崎地方気象台によると、11日午前3時の降り始めから17日午後2時までの総降水量は長崎市長浦岳、島原、南島原市口之津で8月1カ月間の平年値の約4倍の雨を記録。「土壌中の水分量が高い状態が続いており、少しの雨でも土砂災害が発生する恐れがある」として引き続き警戒を呼び掛けている。


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