1週間の総降水量 長崎・雲仙岳、年間の4割に 崖崩れ56カ所で警戒継続

大雨の影響で陥没し、通行止めとなっている主要地方道野母崎宿線=13日午後0時35分、長崎市宮摺町

 長崎県内各地で被害が相次いでいる記録的な大雨は、降り始めから18日で1週間が経過した。県内では4人が死亡、1人が安否不明となっている。雲仙岳では総降水量が1266.5ミリに上り、県内56カ所で崖崩れが起きている。
 長崎地方気象台によると、11日午前3時の降り始めから18日午後5時までの各地点の総降水量は長崎市長浦岳1153.5ミリ、島原929ミリ、西海837.5ミリ、長崎746ミリ、佐世保754.5ミリ-など。雲仙岳や島原では、1週間余りの短期間で平年1年間に降る量の4割に達した。14日には長崎市など6市町に大雨特別警報が出て、避難情報で最も危険度が高い「緊急安全確保」が発令された。
 雲仙市小浜町雲仙では13日、土砂崩れで民家2棟が押し流された。母親と娘が死亡し、安否が分からなくなっている父親の捜索が続いている。別棟の1人が重傷を負った。西海市西彼町上岳郷の用水路では14日、70代の女性2人が死亡しているのが見つかった。
 県によると、18日午後6時現在、住家の被害は全壊4棟、一部損壊4棟、床下浸水14棟。南島原市では地滑りが起きた。
 18日午後4時現在、県が管理する国道・県道のうち長崎市宮摺町など18カ所が路肩の崩壊などで全面通行止めとなっている。また、田畑の一部が崩れるなど農林業に関係する被害は17日時点で202件を数えた。南島原市の原城跡など7件の国指定文化財が被害を受けている。
 大雨特別警報が出た14日。壱岐、対馬両市を除く19市町がピーク時には、5段階の避難情報でレベル3に当たる「高齢者等避難」以上を58万1903世帯126万2349人に出し、244カ所の避難所を開設。最大で428世帯739人が避難した。
 同気象台によると、太平洋高気圧の張り出しが例年より弱く、南北の高気圧に挟まれた前線が九州付近で停滞。暖かく湿った空気が流れ込み、記録的な雨となった。「梅雨末期のような気圧配置だが、数日間続くのは珍しい」という。土壌中の水分量が多いことから引き続き土砂災害に警戒を求めている。

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