相変わらず

 〈週4回出掛けていた買い物を週2に、5人の会合を2人にできれば、接触機会を半分にできる〉-政府が緊急事態宣言のエリア拡大を決めた一昨日、新型コロナ対策分科会の尾身茂会長が記者の囲み取材でこんなふうに訴えたそうだ▲コロナの流行が本格化して「新しい生活様式」が提唱され始めた昨年の春ごろ、こんな話をよく聞いた気がする。だから、目新しさはない。「既に実践済み」の人も多かろう。ただし、とても具体的で分かりやすい▲第5波の猛威が止まらない中、自身の行動を再点検してみるための物差しにはなりそうなメッセージである。ただ思う。言葉で人々を動かしたり、逆に動きを止めたり、もう何回も何回も書いたが、本来それは政治の仕事だ▲同じ日の首相の会見。どこを見ながら誰に話しているのか分からない、力のこもらない話しぶりは相変わらずだ。何かを変えたい、と本気で考えているのだろうか、あれで▲もう演説の巧拙ではなく、実は総理大臣としての“向き不向き”の問題なのではないかとさえ感じる。すっかり自信を失って見えるのは気のせいか。カラ元気も元気のうち…そんな言葉を思い出した▲雨が続く。迫力も覚悟も感じられない政府の対策よりも感染防止には効果的か、と複雑な気分で雨雲を見上げてみる。(智)

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