調査、清掃続けて20年 「九十九島の会」 漂着ごみ問題もっと知って

調査品目別にごみを分類し記録するメンバー=佐世保市内

 九十九島(長崎県佐世保市)の調査や清掃などを行うボランティアグループ「九十九島の会」が、発足20年を迎えた。九十九島の数を調べた団体がきっかけとなり、誕生した同会。伊藤一喜会長は「九十九島の美しさはもちろんだが、漂着ごみの問題なども市民の方に知ってもらえるよう尽力したい」と語る。
 市は1999年を「九十九島の年」としてPRキャンペーンを行った。その一環で、九十九島の正確な島の数を市民とともに数える団体「九十九島の数調査研究会」を同年11月に立ち上げた。約40人のメンバーで約1年半かけて調査し、数を208と発表。現在でもこの数が市の正式な九十九島の数となっている。
 調査をする中で、九十九島の自然などをもっと知りたいと思った有志29人で、2001年4月19日に同会を設立した。

「九十九島の魅力は尽きない」と話す平尾哲朗さん(左)と瑞子さん

 夫婦で同研究会から参加している同市黒髪町の平尾哲朗さん(80)と瑞子さん(74)は、「九十九島は調べれば調べるほど魅力がある。好奇心の赴くまま調査に向かった」と振り返る。
 04年から15年間会長も務めた哲朗さん。九十九島の清掃や調査だけでなく、無人島での磯観察など子ども向けのイベントも19年まで毎年実施した。また、写真展や研修旅行も定期的に行うなど精力的に活動。東京でも展示会を行い九十九島の魅力を紹介してきた。
 10年には、環境省から「グリーンワーカー事業」を受託。西海国立公園内の九十九島の清掃や、希少植物などの自然環境調査を行っている。平尾さん夫婦は「楽しんでやっているから長く続いているんだと思う。今後も九十九島の魅力を発信していきたい」と笑顔で話した。
 同会は地質・歴史、生物、漂着ごみの三つの部会があり、市内外の20~80代の49人が所属。平均年齢は60代後半と高齢化が進んでいるが、「新しいことに挑戦して進化し続けたい」と伊藤会長は意気込む。

「自然の豊かさが九十九島の魅力」と話す伊藤会長

     ◆
 新しい取り組みの一つとして、同市日野町にある砂浜で7月、漂着ごみ部会員ら10人が、ごみ拾いをした後に分類し記録するなどの調査を行った。
 縦横10メートルの範囲で拾ったごみを、「飲料缶」、「レジ袋」など事前に用意した調査品目別に記録。また、表面の砂を採取し、ふるいにかけて5ミリ以下のプラスチック「マイクロプラスチック」も約20個確認し、記録した。今後も調査を継続し、他の地域と比較してどのようなごみが多いかなどを研究していく。

© 株式会社長崎新聞社