目を疑った内村航平の五輪予選 “落下” 橋本大輝との「世代交代マッチ」一気に突入へ

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鉄棒でまさかの予選落ちを喫した内村航平(ロイター)

【東京五輪 祭典の舞台裏(最終回)】東京五輪の体操競技で〝事件〟が起きた。種目別の鉄棒に絞って3大会連続金メダルを狙った体操界のキング・内村航平(32=ジョイカル)は予選でまさかの落下。競技初日に姿を消すあっけない幕切れとなったが、この結末によって体操ニッポンには新たなテーマが誕生。体操関係者も期待を寄せるワクワクの展開とは?

キングの落下は衝撃を与えた。春先の選考会から金メダル級のハイスコアを連発。予選突破は間違いないと思われたが、大技直後の難易度の低いひねり技で失敗し、周囲は騒然となった。試合後、本人は落下の理由を「考えても分からない」と語ったが、現場にいた関係者は誰もが「信じられない」と目を疑った。

大会前の合宿では「金メダル取り」の準備は完璧だった。予選(7月24日)と決勝(8月3日)と全く同じ「中9日ローテ」で試技会を行う徹底ぶり。関係者によると「決勝の演技順が何番になってもいいように、ぶっつけ本番で器具に触れる想定もしていた」という念の入れようだった。個人総合と団体を諦めた内村が鉄棒で金メダルを取って健在をアピール…というストーリーは崩れ去ったが、実は今になって関係者から「面白い展開になってきた」との声が出始めている。

そのキーマンは今大会で個人総合と鉄棒を制した橋本大輝(20=順大)だ。キング落下の暗いムードを打ち消すように、2つの金メダルを獲得。しかも団体でもチームの要として銀メダルに導く活躍を見せ、世代交代を強烈に印象づけた。そして、この両者が10月18日開幕の世界選手権(福岡・北九州市立総合体育館)で激突するのだ。

内村は「自分の生まれ故郷で世界選手権ができるという、この上ない幸せ」と語っている。五輪の汚名返上に燃えており、意地でも金メダルを狙いにくる。そして〝内村の後継者〟と言われてきた橋本は五輪で飛躍し、新エースの座を奪い取った。これにより、図らずも「新旧キング対決」「世代交代マッチ」という対立軸ができ上がり、五輪の〝続編〟につながった。金メダル獲得後、橋本は「早く追いついて、越せるようになりたい」と内村への思いを語ったが、10月の福岡はその絶好の舞台となるだろう。

体操ニッポンの明暗をクッキリ分けた東京五輪。その舞台裏では、秋決戦への〝伏線〟が張られていたようだ。