【体操】2冠・橋本大輝に王者の風格「10代最後のいいプレゼントを自分にあげることができた」

男子種目別「鉄棒」で金メダル。2冠に輝いた橋本大輝

2冠達成だ。東京五輪の体操・男子種目別「鉄棒」の決勝が3日、有明体操競技場で行われ、体操ニッポンの新エース橋本大輝(19=順大)が15・066点のハイスコアをマークし、今大会2つ目の金メダルを獲得。メダル数は団体「銀」、個人総合「金」と合わせて3つとなり、初出場の五輪で最高の結果を残した。なお、同種目に出場した北園丈琉(18=徳洲会)は2度の落下が響いて6位に終わった。

この日の鉄棒には五輪の〝魔物〟がひそんでいた。決勝に進んだ8人中、4人が落下するという異常事態。ライバルたちが脱落していく中、7番目に登場した橋本は表情を変えず、冷静に鉄棒につかまった。幾度となく練習を積んできた高難度の離れ技を次々と成功させ、徐々に「金」のムードが高まっていく。旋回速度がマックスになり、棒は極限までしなる。今大会を締めくくる着地はまるでマットに吸い付くようにピタッと止まった。手をポンっと叩き、満足そうな笑みを浮かべると、2冠が確定した。

表彰台のテッペンに上がると両手でガッツポーズ。その後、取材エリアに現れた橋本は「周りの人がすごく攻めて失敗して、非常にやりづらい雰囲気だった」と演技前の心境を明かし、「人は人、自分は自分だと思って切り替えた。最後は狙って着地を止めて優勝することができて今はホッとしています」と話した。

試合直後のインタビューでは個人総合2連覇で〝キング〟の称号を持つ内村航平(ジョイカル)について「追い付きたい」と表現。その思いを改めて問われると「航平さんは何度も世界チャンピオンになっていて、僕はやっとその土俵に立つための1段目を上っただけ。体操のチャンピオンと言えば内村航平だとずっと言われてきた。それくらいにならないと同じ立場になれないと思います」と心境を吐露した。

五輪閉幕前日の7日に20歳になる。10代ラストウイークは忘れられない瞬間の連続だった。

「結果だけなく、この大会を通じて自分の成長を感じられた。10代最後にいいプレゼントを自分から自分にあげることができたと思います」

体操ニッポンに誕生した新エース。すでに王者の風格が十分に漂っていた。

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