「1カ月前の東京のよう」 長崎大病院・泉川教授が会見 感染状況に危機感

第5波の新規感染者は20代以下が5割を占めるデータを示す泉川教授=長崎市坂本1丁目、長崎大学病院

 長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授は20日、新型コロナウイルスの感染が急拡大し、県独自の緊急事態宣言が19日に出されたことを受けて会見。県内の現状を「1カ月前の東京に若干似ている。嵐の前の静けさのようで恐れている」と危機感を示し、「今すぐ知事が示した感染対策を実施し、ワクチンも打ってほしい」と訴えた。
 現状について新規感染者数は多い反面、病床の逼迫(ひっぱく)は第3、4波ほどではないと分析。さらに感染者の半数は20代以下で軽症者が多く、自宅療養者数が多くなっていると特徴を挙げた。
 こうした状況を「全く楽観視できない」と断言。首都圏などで必要な医療を受けられず自宅療養中の死亡例が報告されていることを踏まえ、「長崎では医療に届かず亡くなる人が出ないようにしなくてはならない」と訴えた。
 宿泊療養施設については「準病院」と位置付け、感染が急拡大する中、重要な役割を担うとの認識を示し、「用意したけど使われなかったということでいい。可能な限り増やすべき」と述べた。
 自宅療養者への対応については「最低でも医師が電話診断ができるように」とし、薬の処方や入院の判断などができる体制整備の必要性にも言及した。
 県内では夏休み期間に高校や中学でクラスター(感染者集団)の発生が相次いだ。間もなく新学期が始まる学校での感染防止策については「家庭と同じように換気や手洗い」の徹底を挙げ、家庭でも基本的な対策を取り、タオルの共用などを避けるよう助言した。


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