議員が足りない!「補欠選挙」が行われるケースとその事例

議員の辞職や死亡により、議席に欠員が出ることがあります。

その際は「補欠選挙」を行って議員を補うことになりますが、ケースによっては補欠選挙を行わず、欠員があるまま議会を進行することもあります。

この記事では、どのような場合に補欠選挙が行われるのかについて解説します。

補欠選挙が行われるのはどんなとき?

補欠選挙とは、選挙に当選した「議員」が死亡や辞職をした場合に、繰り上げ当選をしても議員の数が不足する場合に行われる選挙です。

補欠選挙を実施する条件は公職選挙法第113条により定められています。

条件はどの議員が死亡や辞職をしたかにより異なります。例えば、衆議院小選挙区選出議員の場合には欠員が出たとき参議院選挙区選出議員の場合は当該選挙区の定数の4分の1を超える欠員が出たときに補欠選挙が行われます。

補欠選挙の実施日程にもルールがあります。公職選挙法の改正を重ね、現在では原則として国政の補欠選挙については年2回に統一するようになっています。

地方議会の場合はどうでしょうか。都道府県議会である東京都議会の事例を2つご紹介します。

事例1:東京都議会議員補欠選挙(2020年)

2020年7月、東京都知事選挙と同時に東京都議会議員補欠選挙が行われました。

北多摩第三(定数3)の井樋匡利氏は辞職、大田区(2016年都議選時の定数8)の柳ヶ瀬裕文氏は参院選出馬による辞職、北区(定数3)の音喜多駿氏は北区長選への立候補による辞職、日野市(定数2)の古賀俊昭氏は死去でした。この補欠選挙では、いずれの選挙区でも自民党の候補者が当選しました。

都道府県議会は定数が2以上の選挙区で複数名の欠員が出たとき、または定数が1の選挙区で欠員が出たときに補欠選挙を行います。

通常であればこの4議席の補欠選挙が行われることはなく、議員の補填は行われないままとなります。しかし、東京都知事選挙が実施される際に議員の欠員があれば補欠選挙が同時に行われるルールがあるため、この時期に補欠選挙が行われました。

事例2:補欠選挙を実施しなかったケース

事例1で補欠選挙を行ったあと、2021年7月4日の東京都議会議員選挙が行われるまで、東京都議会には1名の欠員が発生していました。

樋口高顕氏が千代田区長選に出馬するために2021年1月24日に都議会議員を辞職したためです。

都道府県議会では、任期満了まで6ヶ月以内に欠員が生じた場合は補欠選挙は行われません。

そのため、補欠選挙は行われず欠員が出たまま東京都議会議員選挙を迎えることとなりました。

補欠選挙はこんな時に実施されます

補欠選挙は下記のような場合に行われます。

  • 衆議院小選挙区選出議員の欠員が発生したとき
  • 参議院選挙区では、当該選挙区の定数の4分の1を超える欠員が出たとき
  • 衆議院・参議院の比例代表では、欠員の人数が不足数を合わせて定数の4分の1を超えたとき(実際には繰り上げ当選が実施される場合が多い)
  • 都道府県議会の場合には定数が複数の選挙区で2人以上の欠員が出たときか、定数が1人の選挙区で欠員が出たとき
  • 都道府県知事の選挙が行われる際に議会に欠員が発生しているとき

ただし、衆議院小選挙区選出議員の欠員が発生してすぐに衆議院が解散した場合や地方議会の任期が残り6ヶ月を切っていた場合には、上記の条件を満たす欠員が発生していても補欠選挙は行われません。

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(執筆協力:佐々木ダイスケ

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