【直撃！エモＰｅｏｐｌｅ】ギネス世界記録を樹立した記憶術で、どんな人の人生も豊かにする――。そんな壮大な夢を抱いているのが宮地真一さん（４６）だ。自ら発案した「オセロ盤連続複数枚完全記憶」でギネス記録の初代記録保持者。さらに独自の記憶術を惜しげもなく、伝授し続けている。その秘儀の一部を本紙に公開し、類いまれなる半生と今後を熱く語った。
宮地さんは２００６年、世界の上位２％の高ＩＱ（１４８以上）を持つ者しか入会できないＭＥＮＳＡ（メンサ＝本部英国）の入会試験に合格した。小２で自らの能力に気付き、神経衰弱ゲームでは普通のやり方ではなく、５人を相手にトランプ２セットで数字と図柄を当て、小４で円周率１００桁を５分で覚えた。
その頭脳でスポーツにも取り組んだ。中学時代は卓球、高校時代はプロボクシングジムに通い、大学時代はカーレースに没頭。アラン・プロストなどを輩出したフランスの名門レーシングスクールに短期留学した。その後「大好きな車の運転ができる」と佐川急便に就職。テレビでメンサの特集番組を見て「ここに行けば自分と同じ変わった人に出会える」と入会試験に臨み、現役“佐川男子”が一発合格。会員との交流が始まった。
０６年当時、日本に１００人ほどだったメンサ会員は、翌０７年の日本支部設立、高学歴芸人ロザン・宇治原史規らが入会したことなどもあり、現在は約４０００人いる。
「会員の会合に行くと、職業は大学教授や経営者、政治家、公務員、会社員など様々。速射砲のような早口の人が多く、資格取得マニアや、都市伝説、宇宙人の知識がすごい人などもいます」
独自の記憶術を人に教えて仕事にしたいと考えた宮地さんは佐川急便を退職。１５年のドラマ「下町ロケット」（ＴＢＳ系）で小泉孝太郎が演じたＮＡＳＡ帰りのベンチャー企業社長を見てさらに動きだす。
「ステータスを形にして自分の能力をギネス記録で証明しようと。自分で発案した新しい記録で初代世界記録樹立者になって、記憶術を広くみんなに教えようと考えました」
ギネス記録の中でも、それまでになかった記録を新たに生み出すのは非常に困難で、ギネス側との交渉に１年近くかかったが、ようやく「オセロ盤連続複数枚完全記憶」なる挑戦にＧＯサインが出た。オセロ盤６盤に隙間なくランダムに並べた石の配置を１盤１分間で覚え、計３８４個の並び順を完全に再現するという常人離れしたもの。
１６年、ギネス記録を達成した裏には独自の「宮地式記憶術」がある。「ポイントはイメージ、場所、感情。それらを使い、盤面を脳内の“記憶の宮殿”に置く」という。出演したテレビ番組「激レアさんを連れてきた。」（テレビ朝日系）では非公式ながら、オセロ１０盤完全記憶を達成した。
重要なのは老若男女、年齢や学力に関係なく、一般人でも記憶術を習得すれば記憶力はアップすること。例えば、世界最高峰エベレストの高さ８８４８メートルを覚える場合のコツをイラストを示してこう明かす。
「エベレストをエレベーター、８８をヨーヨー、４８を酔っ払いと置き換えます。エレベーターが頂上まで上がり、そこから巨大ヨーヨーが転がり落ちてきて、酔っ払いの酒瓶が割れるイメージをするだけで記憶は定着します。本当にそんな場面に遭遇したら、特に覚えようと努力しなくとも、一瞬で記憶しちゃいますよね」
一般の会社やＰＴＡなどの団体研修でも極意を伝授。受験生はもちろん、お客さんの顔と名前を覚えるのが苦手な人、モノ忘れに悩む人にも実用的な記憶術を教える。
「イメージは感情を伴う衝撃的なものにします。佐藤さんというお客さんがいたら、口や耳、鼻に角砂糖を詰め込んでいるイメージをしちゃいます。本当に目の前でそんなことをされたら勝手に覚えてしまいますよね。その人を見た瞬間にサトウが浮かぶのでお声掛けできます。人間が持つイメージ力はすごいですから、それを利用します」
天才の頭脳を持ちながら、表情や口調がやわらかなのは先を見据えているからだ。
「記憶することが楽しくなると自信が持てて、新しい挑戦もできる。余った時間は夢への行動や恋人・家族との時間に使え、人生が豊かでハッピーになります。全国の記憶力を上げたいと願う方、全ての記憶力を上げるのが夢。記憶する楽しさをお伝えしていきたい」
メンサ級のＩＱとギネス級の記憶力を形として証明した世界的にもまれな特殊能力者の挑戦は続く。
☆みやち・しんいち １９７５年生まれ。福岡市出身。プロ記憶術セミナー講師。佐川急便に在職中の２００６年、世界的高ＩＱ集団ＭＥＮＳＡの入会テストに合格。１６年、自ら発案した記憶力分野のギネス世界記録「オセロ盤連続複数枚完全記憶」を樹立し、初代世界記録保持者に。著書に「メンサ会員でギネス記録樹立者の天才が教える最高の記憶術」。座右の銘は「ベクトルは常に上向き」。ネット検索は「宮地式記憶術」。
