夏休み体験講座 囲碁や絵画… 講師派遣 学童と世代超え交流

児童に囲碁のルールを説明する今村さん=西海市、ぐしこうかん

 長崎県西海市文化協会の会員(個人・団体)が、同市内の放課後児童クラブ(学童保育)の子どもたちに学校や家庭で体験できない学びを提供する「夏休み子ども芸術体験講座」が今年も開かれた。「児童の知的な関心を引き出してくれる」(児童支援員)と好評。昨年に続き「コロナ禍の夏」だが、感染対策も取りながら世代を超えて交流を深めた。
 マスク姿で盤面とにらめっこをする子どもたち。学童保育「ぐしこうかん」(西海町)はこの夏、同講座の一環で囲碁教室を3回開催。7月28日は同協会の今村昭利会長(66)が講師となり、孫世代の19人が上級者と初心者に分かれ対局した。
 上級ランクで優勝した市立西海小4年の松尾真歩さん(9)は「毎年楽しみにしている。頭を使うから算数の勉強に役立つ」。児童支援員の山下美樹さん(51)は「遊びを通じ子どもの個性やひらめきを引き出してくれる」と評価。今村会長は「囲碁は知育につながる。考える力を養ってもらえれば」と目を細めた。
 同講座は2014年、合唱など2講座で始まった。5年前から学童保育に講師を派遣する形式となり、今年は生け花、絵画、囲碁など7講座があった。12の学童保育から応募があり、同協会は8月20日までに延べ約40回、有償ボランティアの講師を派遣した。
 講座は1回2時間程度。感染対策を十分取りながら実施した。学童保育側の費用負担はない。県文化団体協議会によると「市町の文化協会が窓口となり、学童保育に講師を派遣するのは珍しい」という。
 大串学童保育クラブ(西彼町)では7月28日、児童47人が思い思いに筆を走らせた。講師は長年海外を拠点に活動してきた同市在住の画家、岡本泰彰さん(40)。「抽象画って分かるかな。風景や人物でなく、模様やデザインを自由に描いてみよう」と子どもたちに優しく声を掛けた。
 市立大串小4年の相川宗汰郎君(10)は岡本さんのアドバイスで霧状に絵の具を飛ばすなどして赤、青、金色の「きれいな空」を描いた。「学校では教えてもらえないことを専門の人に教わり楽しかった」と満足そうに話し、岡本さんも「発想や色づかいが面白い。自分の作品にも取り入れられたら」と刺激を受けた様子だった。
 市文化協会事務局は「『子どもは地域の宝』と賛同する会員さんと、学童保育の協力があってこその事業。講座を通じ、子どもたちが熱中できるものを見つけてもらえれば」としている。

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